■ 理事会だより

■「土木学会役員選出の手続き」について

土木学会の会長以下役員の選出については、適宜土木学会誌に状況を報告してきたほか、定款、細則ならびに「土木学会役員候補者選考規程」及び「土木学会役員候補者選考内規」に詳細な定めがあり、規程集のページにおいて閲覧できるが、会員各位が役員選出の手続きを容易に把握できるよう、この度以下に解説をする。
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役員選出方法の概要

 土木学会の会長以下の役員は、定款の定めにより、まず総会において30名の理事と監事2名が選任(1)され、選任された理事の互選により、会長、副会長、専務理事が選定されるという手順となっている。実際には任期のずれから30名の理事の半数程度と監事1名が毎年改選になる。
 しかし実務上は、総会に(はか)るべき役員候補者の原案を作成する必要があり、また、理事の互選による会長等の選定についても、適正な手順により、会員の代表にふさわしい選出が行われるように手続きを整える必要がある。このために、合計100名の選考委員を各支部から選出して「役員候補者選考委員会」を構成し役員候補者の選考を行っている。100名の役員候補者選考委員の選出は各支部の会員数に比例して按分(あんぶん)され、各支部は会員の活動歴、職域などを考慮して選考委員を選出する(表1)。この「役員候補者選考委員会」の委員長は、フェロー会員とし会長が指名している(2)。また、役員候補者の選考にかかる基本方針を含む検討資料作成など、委員会の業務を処理するため、選考委員100名の中から選定された20名を部会員とする「素案作成部会」が編成される。この部会の部会長は「役員候補者選考委員会」委員長が兼務している。
 この役員候補者選考委員の投票により選考された役員候補者は理事会の議を経て、総会に上程されることとなっている。

表1

 

役員候補者選出の手順

(1)理事候補者

 理事の定数は、定款に25名以上30名以内と定められており、現在上限の30名で運用している。この30名のうち1名が会長、3名が職域から選ばれる副会長、1名が専務理事である。さらに4名の理事が職域を考慮して選出され、残りの21名は支部の会員数を反映して、関東6名、関西4名、北海道、東北、中部、中国および西部に各2名、四国に1名の配分のもとに各支部が原案を推薦する。後に説明する次期会長はその所属する支部の枠に含まれる。この支部配分の理事枠の中から、2名が支部選出の副会長として選出され、副会長は計5名となる。なお、職域からの選出理事4名については、関東支部が原案作成を担当している(表2、3)。理事候補者はこれら原案をもとに「役員候補者選考委員会」が選考し、理事会の議を経て総会に上程される。

表2
表3

(2)監事候補者

 監事候補者については、1名は関東支部から、もう1名は中部支部と関西支部が輪番で選出することとなっている。監事候補者は「役員候補者選考委員会」が選考し、理事会の議を経て総会に上程される。

(3)会長候補者・次期会長候補者

 土木学会では次期会長という制度を採用している。これは会長候補者について、理事の任期2年のうち最初の1年目は「次期会長」と称し、予算原案作成などの重要な業務を担当した後、2年目に総会時の臨時理事会で選定されて会長となるというものである。これはアメリカ土木学会(ASCE)、イギリス土木学会(ICE)と同様な工夫である。  したがって「役員候補者選考委員会」としては、臨時理事会に提出する会長候補者には前年度の次期会長をもってあてることとし、これを前提として次期会長候補者を選考することとなる(3)。  次期会長候補者の原案作成は、過去4年間の正副会長から構成される約20名の「次期会長候補者選考委員会(4)委員長は会長)」によって行うこととしている(表4)。次期会長候補者の選考にあたっては以下の点が考慮される。第1に、次期会長候補者の職域は、「官庁」、「大学」、「民間」そして「すべての職域」の順番の4年サイクルで運用する。第2に、候補者の推薦にあたっては「会長の推薦にあたって考慮すべき事柄」(表5)を考慮する。この選考作業にともなう実務は、会長の指名する2名の副会長が担当するが、「次期会長候補者選考委員会」を構成するすべての委員は候補者の推薦を行うことができる。「次期会長候補者選考委員会」においては、推薦された候補者の適性等を審議するが、複数の候補者が推薦された場合は投票によって1名に決定する。 「次期会長候補者選考委員会」は、次期会長候補者の原案を先に述べた「役員候補者選考委員会」に推薦し、「役員候補者選考委員会」は審議のうえ、さらに理事会に推薦することとなる。

(4)副会長候補者・専務理事候補者

 副会長候補者及び専務理事候補者は、「正副会長会議」が原案を作成する。副会長5名は職域から選ばれる3名と支部推薦の2名から構成される。職域からの3名については、関東支部の意見を求め、支部推薦の2名については、全国大会開催支部およびその次年度の開催予定支部の意見を求めることとなっている。「正副会長会議」は副会長候補者と専務理事候補者の原案を「役員候補者選考委員会」に推薦し、「役員候補者選考委員会」は審議のうえ、さらに理事会に推薦することとなる。

表4、表5

 現在土木学会は新しい公益法人への移行申請を準備中であり、役員選出の手続きについては現在のものを継続させる方針であるが、一方で今後も必要な改善を続けて行く必要があると考えている。

(土木学会総務担当主査理事・副会長 星野 満)

 

(1) 用語: 本稿では選任、選定、選考、選出を以下のように使い分けている。
 選任: 規程に基づき選出(を承認)し、任命する。
 選定:規程に基づき選出しまたは承認する。
 選考:規程に基づき候補者の案を作成する。
 選出:「選び出す」という一般的な意味で使用。
(2) 委員長は投票できない。(土木学会役員候補者選考規程第8条)
(3) 会長の選定はあくまでそのときの理事会の権限であるので、前期の理事会が決定する「次期会長」は役職の一種であり、規程上はあくまで会長候補者の一人という扱いとなる。
(4) 平成20年度以前は「拡大正副会長会議」と称していた。また4年間の正副会長会議メンバーに支部選出者が含まれない支部については、現在の理事の中から会長が委員を指名して構成員とする。