平成16年度の土木学会全国大会が、来る9月8日(水)から10日(金)の3日間、愛知工業大学キャンパスを主会場として開催されることになりました。 土木学会中部支部は、1938年(昭和13年)5月に設立されました。以来、石川県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県の6県の学、産、官の会員約4,200名で、日頃から講演会、講習会、シンポジウムの開催など活発な学会活動を会員協力の下、鋭意行っています。全国大会の中部支部での開催は、1996(平成8)年に愛知県名古屋市(名城大学)で開催されて以来、8年ぶりの開催となります。現在、全国大会の開催に向け、総力をあげて大会の準備を進めています。特に基調講演、全体討論会、交流会の開催場所は、通常サッカー競技場としてJリーグの公式試合などに利用されている「豊田スタジアム」となる予定です。 開催地となる愛知県豊田市は、名古屋市の東に位置し、現在の人口は約36万人。市区町村別で全国第1位の製造品出荷額等を誇り、「クルマのまち」としてその名を知られ、モノづくり産業の世界的な拠点となっています。また、一方でナシやモモの生産量は愛知県内第1位になっているなど、豊かな自然とこの土地ならではの気候風土で全国に自慢できる特産品が多数あります。毎年7月の最終金・土・日曜日に開催される「豊田おいでんまつり」は、豊田市最大のイベントで、3日間に約65万人を集客し、日曜日には、全国でも有数の規模を誇る花火大会が行われています。 今年度の全国大会のテーマは「土木事業への市民参加」としました。昨今、社会資本整備については、「無駄がある」、「高コストである」、「止める仕組みがない」、「市民・住民の理解を得る努力を十分に行っていない」といった批判があります。土木事業(公共事業)の実施に際しては、重点化、効率化、コスト縮減を図るとともに、その事業の透明性、公正性を確保し、市民・住民の理解と協力を得ることが重要と認識しています。そのためには、事業者の各段階(構想、計画等の各過程)において市民・住民の主体的、積極的な参加を推進する必要があるものと考えています。市民・住民との対話を積極的に取り入れ事業を進めることにより、個別の土木事業はもとより、社会資本を担うすべての土木事業に対する理解と信頼の回復につながっていくものと考えています。さらに、市民・住民との対話は、土木技術者にとっても、その専門性をもって分かりやすく説明する重要な契機をもたらすものでもあります。このような考えから大会のメインテーマとさせていただきました。土木事業への市民参加を図る各種施策などについて、全体討論会等の機会を通じて議論や意見交換を行い、その結果として、新たな方向性などが提示されるものと大いに期待しています。 さて、愛知工業大学キャンパスの近くには、来年3月25日から開催される、2005年日本国際博覧会(愛・地球博)の会場があり、アクセスとして、磁気浮上式システムによる国内初の本格的な営業路線となる東部丘陵線(愛称「リニモ」)のほか、東海環状自動車道(延長73km)が平成16年度開通予定となっています。また、中部国際空港が2005(平成17)年2月17日開港予定となっており、並行して名古屋都市圏から新空港への各種アクセスについても鋭意整備が進められています。この他にも、徳山ダムや名古屋港における大水深コンテナターミナルの整備など、数多くの大規模プロジェクトが進められています。このたびの大会では、全国各地から1人でも多くの会員に会場の方に御参加をいただき、学術・技術の研鑽とともに、これらプロジェクトの現地見学、交流会等を通じ会員相互の交流や親睦を深めていただきたいと念願しています。全国大会が、ご参加の皆様方のさらなる発展につながることを祈念申し上げ、巻頭の挨拶といたします。 |