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九州の近代土木遺産

土木学会では、幕末以降、西洋の近代土木技術が導入されてから第二次世界大戦以前までに造られた土木施設のうち、現存しているものを近代土木遺産と定義し、全国調査を行いました。その結果、全国で約2,800件、九州で約500件が確認されています。

近代土木遺産とは

近代土木遺産は、次のような3点で評価され、A〜Cの3段階にランク分けされています。
  • 技術
    技術が優れていること
  • 意匠
    デザインが優れていること
  • 系譜
    地域に様々な形で貢献している、あるいは地域の人たちに愛されていること

選奨土木遺産とは

土木学会選奨土木遺産選考委員会では近代土木遺産Aランクの中から、平成12年度より毎年全国で10件程度ずつを「選奨土木遺産」として認定・表彰しています。
「選奨土木遺産」とは、全国に多数ある近代土木遺産の中から選出された貴重な先人達の遺産であり、今後とも良好な保存状態を維持すれば年を重ねる度にその価値を増し、将来、国の重要文化財として指定される可能性のある、かけがえのない国家的財産なのです。

九州では令和3年度までに以下51件の近代土木遺産が「選奨土木遺産」に認定されています。

平成12年度 河内貯水池(福岡県北九州市)
平成13年度 三角西港/(旧)三角港(熊本県三角町)
※平成14年度国の文化審議会から文部科学省に対し、重要文化財指定の答申が行われました。
平成14年度
  1. 明正井路一号幹線一号橋(大分県竹田市)
  2. 美々津橋(宮崎県日向市)
平成15年度
  1. 出島橋(長崎県長崎市)
  2. 東与賀地区大搦堤防・授産社搦堤防(佐賀県東与賀町)
  3. 鹿児島港旧石積防波堤(鹿児島県鹿児島市)
平成16年度
  1. 名島橋(名島橋及び名島川橋梁)(福岡県福岡市)
  2. 山の田浄水場群(長崎県佐世保市)
平成17年度
  1. 明治橋(大分県臼杵市)
  2. 大田発電所(鹿児島県日置市)
平成18年度
  1. 関門トンネル(在来線用)(福岡県北九州市)
  2. 栴檀橋(佐賀県佐賀市)
  3. 姫井橋(熊本県菊池市)
平成19年度
  1. 龍頭橋(大分県杵築市)
  2. 本河内高部堰堤(長崎県長崎市)
  3. 七窪水源地(鹿児島県鹿児島市)下田町
平成20年度
  1. 若津港導流堤(筑後川デ・レーケ堤)(福岡県大川市・柳川市)(佐賀県佐賀市)
  2. 有明海旧干拓施設(熊本県玉名市)
  3. 大島海峡(旧)軍事施設群(鹿児島県瀬戸内町)
平成21年度
  1. 矢岳第一トンネル(宮崎県小林市)
  2. 小ヶ倉(水道)堰堤(こがくら(すいどう)えんてい)(長崎県長崎市)
  3. 大度の用之助港(おおどのようのすけこう)(沖縄県糸満市)
平成22年度
  1. 蛤水道(はまぐりすいどう)(佐賀県神埼郡吉野ヶ里)
  2. 川原隧道と石畳(かわばるずいどうといしだたみ)(大分県日田市天ケ瀬町)
  3. 第三五ヶ瀬川橋梁(だいさんごかせがわきょうりょう)(宮崎県日之影町)
平成23年度
  1. 深浦水雷艇隊基地跡(ふかうらすいらいていたいきちあと)(長崎県対馬市美津島町)
  2. 長崎堤防(鹿児島県薩摩川内市高江町)
平成24年度
  1. キリズシのトンネル(大分県中津市三光上深水)
  2. 綱ノ瀬橋梁(つなのせきょうりょう)(宮崎県延岡市北方町椎畑)
  3. 山田堰(やまだぜき)(福岡県朝倉市山田161)
  4. 馬の頭水利施設 (うまんかしらすいりしせつ)(佐賀県伊万里市松浦町)
平成25年度
  1. 洗玉眼鏡橋(せんぎょくめがねばし)(福岡県八女市上陽町)
  2. 轟泉水道(ごうせんすいどう)(熊本県宇土市)
平成26年度
  1. 湯野田橋(ゆのだばし)(佐賀県婦野市)
  2. 細島験潮場(ほそしまけんちょうじょう)(宮崎県日向市)
平成27年度
  1. 立野橋梁(たてのきょうりょう)(熊本県南阿蘇村)
  2. 五ヶ瀬川畳堤(ごかせがわたたみてい)(宮崎県延岡市)
平成28年度
  1. 佐井川橋(さいがわばし)(福岡県築上郡吉冨町)
  2. 姶良橋(あいらばし)(鹿児島県姶良市)
平成29年度
  1. 中島川変流部護岸(なかしまがわへんりゅうぶごがん)(長崎県長崎市江戸町)
平成30年度
  1. 曲渕ダム(まがりふちだむ)(福岡県福岡市早良区)
  2. 平熊の石洗越(ひらくまのいしあらいごし)(鹿児島県霧島市隼人町)
令和元年度
  1. 若松港築港関連施設群(わかまつこうちっこうかんれんしせつぐん)(福岡県北九州市)
  2. 川畑井堰(かわばたいぜき)(鹿児島県南さつま市)
  3. 上椎葉ダム(かみしいばだむ)(宮崎県椎葉村)
令和2年度
  1. 八代の石造干拓施設群(やつしろのせきぞうかんたくしせつぐん)(熊本県八代市)
  2. 宮内原用水の二穴式隧道群(みやうちばるようすいのにけつしきずいどうぐん)(鹿児島県霧島市)
令和3年度
  1. 緒方川の多連アーチ石橋群(おがたがわのたれんあーちいしばしぐん)(大分県豊後大野市)
  2. 花峯橋(はなみねばし)(宮崎県日南市)
令和4年度
  1. 山国橋(やまくにばし)(福岡県築上郡吉富町〜大分県中津市)
  2. 赤尾木港の岸岐と築島(あかおぎこうのがんぎとつきじま)(西之表市)
令和5年度
  1. 横瀬二連水路橋(よこせにれんすいろきょう)(大分県大分市横瀬)
  2. 荒崎新地の石造干拓施設群(あらさきしんちのせきぞうかんたくしせつぐん)(鹿児島県出水市)

こうした活動は、次のような趣旨で行われています。
  • 社会に対するアピール
    社会基盤として生活に供されてきた土木構造物に対する人々の関心を高め、親しみを持ってもらうこと
  • 土木技術者に対するアピール
    先達の偉業を広く伝え、土木の仕事に対する誇りや崇高な志を喚起すること
  • 地域づくりへの活用
    歴史的土木施設を活かした地域性溢れるまちづくりを促すこと

このホームページでは、これらの趣旨を踏まえ、国指定重要文化財、選奨土木遺産、近代土木遺産Aランク(一部Bランク)を中心に、九州各県の代表的な近代土木遺産を紹介しています。

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