関東の土木遺産 関東の土木遺産
土木遺産の概要 施設位置図 施設一覧
   
栃木県/那須烏山市
とうきょうどうりょくきかいせいぞうかぶしきがいしゃちかこうじょうあと
東京動力機械製造株式会社地下工場跡
平成24年度認定(2012年)
■東京動力機械製造株式会社地下工場跡
東京動力機械製造株式会社地下工場跡 1.施設の概要
 栃木県では、433件の近代化遺産が確認されており、その内、軍事に関連する戦争遺産は14件リストアップされている(「栃木県近代化遺産総合調査報告書」2003年、栃木県教育委員会)。戦争遺産は、とかく負の遺産として捉えられがちであるが、戦争遺産のイベントへの活用は平和を享受することの意味を考える効果がさらに強くなると思われる。また、これら戦争遺産の建造に係わる工程の大部分は人力であり、技術力やデザイン力を超えた圧倒的な迫力が感受されるとともに、特異な時代体制の下で果たしてきた土木技術の一つの役割を伝えるものとして重要である。
 東京動力機械製造株式会社地下工場跡は、高さ・幅とも約3.5mの3本の坑道と5本の横坑で構成された総延長約600mの素掘りトンネル群である。1944年から1945年にかけて建設された軍需工場の一部で、隣接した半地下式工場と併せ約20台の戦車が製造されたとされる。旧第14師団司令部が置かれた宇都宮市に隣接し、掘削に爆薬を必要としない凝灰質砂岩の丘陵であったことなどから当地に建設されたものと思われる。第二次大戦終結後、坑道は放置されたが、坑道内の気温が古酒の貯蔵に適していることから、1994年に地元の酒造業者により構内の舗装と電気工事等の整備が行われ、1996年から熟成酒の貯蔵庫として利用されている。また、2002年から施設の一般公開が開始され、2005年からは坑道内でのコンサートが企画されるなど、地域のコミュニティー活動の場としても活用されている。
 
2.施設の諸元
所在地: 栃木県那須烏山市
完成年: 昭和20(1945)年
構造形式等: 素掘りトンネル群
受賞理由: 戦車製造の軍需工場として人力だけで建造された総延長600mの素掘り隧道群で意匠・技術力を超越した迫力が感受される土木遺産
管理者: 地権者(問合せ:株式会社 島崎酒造)
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