論文番号 111
著者名 田中、佐藤、川岸、石川、山本
論文題目 石川海岸の沖合における漂砂機構
討論者 日向 博文(東京工業大学土木工学科助手)
質疑
強い底層流が起きている時の流速鉛直プロファイルを教えて下さい。
回答
図−1は、水深15mに設置された常設観測地点での記録です。一番上が近傍陸地での風データであり、上層は海底から2.5m,中層は海底から1.5m,底層は海底から0.7m上の流速データです。角度はS方向をゼロ度とし、時計方向を正としています。海岸線の接線方向はほぼ230度です。
本図より、表層を含めた詳細な鉛直プロファイルは判りませんが、強い底層流が起きているときには、上層から底層流まで、流向・流速共にほとんど変わっておりません。
質疑
96. 1.7〜10では、風が岸に直角に吹いているが、この時の強い底層流が起きるメカニズムを教えてください。
回答
本地点の流れは、沖波砕波による余剰運動量や海流などの影響を受けた吹送流(平均水位勾配、コリオリ力、および、波による余剰運動量などの釣り合いを考えた海岸流)と見なせますから、風速、および、風向と海岸地形との関係で、ある程度説明できると考えられます。
強風が吹いている期間は、風向が190度〜360度の範囲に有ります。この強風が吹いている期間で、海岸線にある程度平行と見なせる風向(190度〜290度程度)が継続的に続けば、沖の風波砕波の影響も受けて、発達した海岸流が認められます。この流れの向きは、風向の制約から北東方向となります。
8日は強風が認められますが、流向を反転させるほどに、風向が途中で変わっており、海岸流は発達できなかったと考えられます。9日後半になると強風が風向280度前後で吹き続いたため、北東方向の海岸流が発達しております。10日〜11日にかけては、風向が280度〜350度ヘ変わっており、流向もどちらかと言えば反転するようになり、流速が低下しています。
(click to enlarge)