論文番号
129著者名 土屋義人・山下隆男・泉 達尚
論文題目 海岸侵食と海浜の安定化;構造物か,養浜か?
訂正
1) p. 642, 右段下から9行;関屋分水地点を新川漁港地点,信濃河河口を信濃川河口,12行;1960年関を1960年間
2) p. 643,左段上から13行;関屋分水を新川漁港,14行;230,000m3/yrを23,000m3/yr
3) 右段上から11行;関屋分水を新川漁港,12行;60m以上を約30m,14行;(x=110)付近を(x=110)以西,15行;10mを6m
討論者
椹木 亨(大阪産大)質疑
1) 新潟海岸の弧状砂州がヘッドランド工法にどのような影響を示すのか?
2) 安定化工法は目的ごと(積極的な前進,または現状維持)によって異なるので,一律に養浜可,構造物可(逆の場合もある)といった判定はできないのではないか?
回答
1) 安定な砂浜群を形成させて砂浜海岸の安定化を図ろうとする安定海浜工法の基礎は,できるだけ自然の砂浜を形成させようとするものであるので,元来,弧状砂州が形成されていた海岸ではそれが形成できる環境を作ることが条件となる.しかし,現実には,新潟海岸のようにブロックでシールドされた海岸となっているところでは,最小限の構造物により汀線変化に対する境界条件を設置して砂浜を区切ることになろうから,弧状砂州が形成できるほど完全な復元はできないであろう.
2) この論文の趣旨は,現状のように構造物主体で海岸侵食対策を実施してきた代わりに,もし養浜してきておったならばどうなっていたかを検討したものである.決して十分ではないが,養浜だけでは砂浜はほとんど残らなかったであろうが,もし適切な境界条件を設定できていたならば砂浜群として残せたかもしれないというのがわかってきたように思う.
討論者
小笹 博昭(運輸省港湾研)質疑
岸沖方向の漂砂の移動による影響はどう考えるのか?
回答
前質疑に対する回答で述べた趣旨で実施した研究であるが,具体的には岸沖漂砂による海浜断面の変化は直接は考慮していない.しかし,地盤沈下の評価において海底地形の変化としての漂砂の流失は考慮したつもりである.構造物主体の海岸侵食対策では,どうしても沖漂砂を助長しがちであり,砂浜の安定化を期待できないので,砂浜の形成に必須の最小限の構造物により対象海浜全体の安定化を図ろうと思考している.
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