論文番号 135

著者名 堀川清司,田中寛好,畑中勝守,山谷直昭,堀田新太郎

論文題目 飛砂捕捉溝に関する研究

訂正

 論文中 (8) 式括弧内のプラスはマイナスの間違い.

 

討論者 辻本剛志(神戸高専,都市工学科)

質疑

 アスペクト比56の間が,砂のトラップに適切である根拠が循環流の形成の有無で判断することには無理があるように思える.砂粒子の粒子追跡を行う必要があると思われる.具体的にはオイラー・ラグランジュの方法で粒子追跡を行い残存率よりその効率を算定してはどうか.

回答

 質問の内容は前半と後半の二つに分けられる思われるが,いずれに対する回答も本文中の「2.飛砂捕捉溝の発想とその効果の検証の経緯」で述べている.ここでは改めて簡単に回答する.

 1.循環流の形成の有無のアスペクト比で適切なトレンチ幅を定めたわけではない.捕捉溝が工学的に有効に作用するには,捕捉溝の幅が2m程度で十分であること Horikawa et al. (1984) の現地観測あるいは Hotta and Horikawa (1993) の室内実験,塩澤ら (1993) の現地観測より容易に判断できる.著者ら (Horikawa et al.,1984) は現地にてトレンチを用いて飛砂量を観測しており,幅8mのトレンチにおいて風がトレンチの風下端に衝突しトレンチ内を著しく撹乱するという結果から,広い幅のトレンチは飛砂捕捉に適切ではないと結論した.しかしながらそれが何故であるかについて考察してはいなかった.今回の実験により,アスペクト比によるトレンチ内の循環流の形成に起因すると気付いたということである.この実験にて適切な幅あるいは最小幅を定めたというより,捕捉溝を効果的に機能させる為の最大幅を定めたと考えて頂きたい.

 2.残存率よりその効果を算定するためには,確率的な概念を持ち込むかあるいは実験的な事実を必要とすることになる.Hotta and Horikawa (1993) の実験は河村 (1951) の飛砂量の鉛直分布式を応用したもので,この式の誘導において確率的な考え方がなされており,さらにそれを実験的に検証している.したがって,残存率よりその効果を算定した結果,捕捉溝の幅は2m程度で十分であるということである.

 

討論者 二瓶泰雄(東工大,情理工)

質疑

 室内実験において乱れ統計量分布はどのようになっているか.

回答

 今回の実験では,アスペクト比の違いによる平均的なトレンチ内の循環流の形成に着目している.したがって,乱れ統計量は特に必要としなかったため計算していない.

 

目次に戻る