論文番号 183

著者名 佐藤幸雄 渡部靖憲

論文題名 水平振動流中の円柱の表面に剥離を伴う場合の流体力について

討論者 伊藤政博(名城大・理工・土木工学科)

質疑

(1) 非常に興味ある御研究ですので、この研究の応用性について御教示下さい。

(2) 海底(水平)におかれたパイプについて具体的な結果があれば御提示(図等)下さい。

(3) 本研究の適用性(適用限界);波の周期、波高、パイプの径など

回答

(1)および(3)計算条件に用いたK.C.数およびRe数は、円柱の半径、水平振動流の周期、最大流速および流体力の動粘性係数を使用した無次元量であるため具体的には分かり難い。そのために1例として図−3に計算範囲を波動場の有次元量に対応させて示した。この場合の有次元量の最大流速には微小振幅波の静水面上の水平方向最大流速を使用している。この図より破線で示した計算上の発散限界より下方の範囲が適用範囲となるが、この適用範囲は波動場の有次元量で示すには種々の場合が考えられ簡単には確定されないが、大略的にはパイプの直径がD=10cm程度の場合で周期がT=20sec〜30secの水平振動流に近い長波性の波に対して、波高がおよそH=10cm以下のとき、水面付近に設置されているパイプに適用されると云える。

 また、このような水理条件の下ではパイプ表面に剥離が生じるためパイプに働く流体力は、ポテンシャル流の場合に適用されるMorison式による流体力より、K.C.数およびRe数によっては、1.5〜2.0倍程度大きい値を示すことが、図−20より分かり、設計上では注意が必要である。

(2)海底上にパイプを設置したようなパイプの上側と下側で非対称な流れによる場合の計算については現在全く行っていないが、実際にはこのようなCASEも多く見受けられ今後計算を行う必要があると思います。

 

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