論文番号 187
著者名 高村 浩彰,多田彰秀,増田光一
論文題 横波が作用する弧状の浅喫水連結浮体構造物における応答特性
討論者 土田充(清水建設(株))
質疑
流体力の相互作用が小さく,連結部からの軸力のみで浮体動揺の差違がでると思われるが,実験では軸力に差違があるにも関わらず浮体動揺に差が存在しない理由について.
回答
本論で対象とした弧状に配置された連結浮体構造物は,横波を受けているために流体力の相互作用が小さく,連結浮体の上下揺れと左右揺れの連成振動が発生していることを本論執筆後の追加検討から確認している.このため,本論中に示した図−5の中央浮体に関する上下揺れ応答特性では,各運動方向の固有周期による極大値の影響が顕著である.さらに,浮体喫水,連結浮体数および配置形状の変化に伴う応答特性の相違はほとんど認められない.一方,図−A.1は,中央浮体を拘束している連結部(3連結浮体のJ−2連結部並びに5連結浮体のJ−3連結部)軸力の応答特性を示したものである.図−4に示した連結浮体端部(J−1連結部)の軸力特性ほど顕著でないものの,中央浮体に隣接した連結部軸力の応答特性でも実験条件による差違が認められる.これは,浮体喫水,各浮体に作用する波の入射角および位相差などの変化に伴う連結浮体の左右揺れ方向の流
体力の変化に依存しているものと考えられる.
また,本論中図−8で対象とした実験ケース(5連結浮体Aタイプ,B/d=15)に関する各浮体の上下揺れ応答特性を図−A.2に示す.図−8および図−A.2を比較することによって,・端部に配置された浮体(F−1浮体)は片側が固定されているため,連結部からの拘束が強く浮体動揺が小さくなること,・中央浮体(F−3浮体)は固定端の影響が小さいため拘束が弱く浮体動揺が大きくなることなどが読みとれる.すなわち,軸力の差違に応じた上下揺れ方向の浮体動揺が確認できる.
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