論文番号
205著者名 由比政年,石田 啓,矢富盟祥,廣部英一,保智正和
論文題目 二相混合体内の波動伝播に基づく海底地盤の波浪応答の理論解
訂正
・論文中の式にタイプミスがあり,以下のように訂正していただきたい.
式(8),(9):大括弧閉じる”]”の前に (-a**2)(マイナスaの2乗)が必要
式(10):最後の括弧内の(+2μ)の部分は不要
式(17):大括弧閉じる”]”の前に (-(a/ω)**2)(マイナス (a/ω)の2乗)が必要
式(23)の第1式:expの前に大括弧閉じる”]”が必要
式(35)の第5式:(ω/k)の後ろの”/”は不要
討論者 京都大学防災研究所 間瀬 肇
質疑
準静的な近似が有効性を失うのは,単純に考えると高周波成分と考えられるが,本研究の考察によると波長が長い場合となっており,その点の説明をいま一度お願いします.
回答
準静的な解は,動的な解において,2つの無次元パラメータμとδを0とする極限形として位置づけられます.この内,μの方は確かに周波数に比例しますが,通常の海底地盤の波浪応答を考える際には,2倍,3倍の周波数成分を考えたとしても,μは,1に対して十分小さい値(10の(-5)乗程度)をとります.
一方,δの方は,波浪の位相速度と,地盤の土相と水相が一体となって運動する場合のせん断波の位相速度の比の2乗の形で表され,10の(-1)乗程度の値を取ります.このため,位相速度が大きい,すなわち,(微小振幅波の分散関係に従えば,)波長が長い波に対するほど,δの値は大きくなり,準静的解と動的解の差は大きくなります.
言い換えれば,準静的解,動的解の適用性について考える場合には,波浪の周波数
ではなく,その位相速度に着目する必要があることとなります.