論文番号
211著者名 三村信男・鯉渕幸生・中村義治・喜多 潤・磯野良介
論文題目 ホッキガイの生息分布と物理環境に関する総合的解析
討論者 山西博幸(九州大学工学部)
質疑
図-10中,実際の漁獲高の分布はGISモデルより推測された好適生息域に包含されているが,逆にGISモデルで好適であると推定されたにもかかわらず漁獲高がない場所がある.こらは,何らかのデータ入力不足でこの様な結果が生じているのか.
回答
モデルで好適であると推定されたにもかかわらず漁獲高がない場所というのは,図-10にある浜中湾の中央北側一帯を指していると思います.この地点では内陸部に幌戸沼がありシルト性の底質が流入して堆積するため,ホッキガイの生息域としては適していないと考えられます.事実漁獲は少ない.今回の好適生息域判定モデルでは,底質のシルト含有率を一律に波浪条件から推定しており,シルトの流入源の有無等の局所的な条件は考慮していません.それが局所的な不一致を生んだ原因でしょう.しかし,原理的には,シルトの移流・拡散を計算して底質の分布を推定すれば,その結果を今回の好適生息域判定モデルに導入することによって,好適生息域の推定精度を上げることは可能であると考えています.