論文番号 220

著者名 稲垣聡・新保裕美・林文慶・田中昌宏・柵頼信夫

論文題目 密度成層を形成する閉鎖性湾の流動及び水質の特性

討論者 八木宏(東工大、土木)

質疑

 対象海域の海水交換機構は何か。風の効果を中心に調べているが、風が残差流・海水交換に重要なのか。河川流量も重要と考えるがどうか。

回答

 本論文においては,実測において無風時と風作用時で風の効果が明瞭に比較できる結果が得られたたため,その部分に着目してまとめた。実際の金沢八景海域の海水交換については,風の効果の他,淡水流入や外海である東京湾内の流れの影響が重なっていると考えるが,そのバランスについてはよく分かっていない。ただし,金沢湾の中には時計回りの平均流が存在すると言われており,これについては東京湾の南下流によって金沢湾内にそのような流れが発生することを数値シミュレーションで確認している。

 

討論者 山西博幸(九大・工)

質疑

 風速が作用し始めてどのくらいの時間で湾内の物質輸送が生じ始めるのか。

(吹送時間やフェッチ等との関連を含めて検討しているのか)

回答

 論文に掲載した流速測定結果は連続計測を行ったものではないので,吹送時間との関連等は残念ながら分からない。しかし,船による実測時には,表層付近の流れは風向きの変化に対し,極めて迅速に追随していると実感した。これは,対象海域が比較的静穏で元々大きな流れが存在しないことと,湾のスケールが数百メートルから2km程度と小さく,過去の風の履歴に流況が左右されにくいことによると思われる。

 

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