論文番号 30

著者名 武若 聡・入江 功(九州大学),深川孝之(清水建設)

論文題目 浅海域の水面波形と底面流速波形の非対称特性

討論者 森 信人(電力中央研究所)

質疑

 1. 砕波帯内でS1とS2の値がばらつくのはなぜか?

 2. 砕波帯内のη,uのS1,S2に相関はあるのか?

回答

 1. 砕波帯でのS1とS2のばらつきには2つの原因が考えられます.一つは砕波により発生する渦の影響です.S1,S2の値は位相平均波形を求めてから算定していますが,砕波により発生する渦の挙動のランダム性が完全に除去できていません.これは,より激しい渦・乱れが発生するplunging型砕波のS1,S2のばらつきが大きいことにも現れています.もう一つの原因はS1,S2の定義法にあります.砕波帯では波形が扁平になるために,波峰,波谷を定めるのが砕波帯外に比べて難しくなります.この点については今後の研究で改善を図りたいと考えています.

 ご指摘のように図-5,図-6の結果にはばらつきが認められますが,砕波点から汀線にかけての波形の変形特性の傾向は正しく現されていると考えています.

 2. 水面波形と底面流速波形の位相差はほとんどなく,位相関係の相関は良好でした.一方,両者の波形(本研究ではその特長をS1,S2で表現)には長波的な関係,すなわち両者の波形が相似的になるという関係は見られませんでした.全般に底面流速波形は水面波形に比較して歪み,前傾などが小さい状況にありました.

 

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