論文番号
64著者名 村上仁士,伊藤禎彦,山本尚明,佐藤広章
論文題目 紀伊半島・四国沿岸における津波の危険度に関する考察
討論者 柴木秀之(株式会社エコー)
質疑
南海道地震の断層位置はそれほど大きく変化せず,西側断層のすべり量が東側よりも大きいのが基本的特徴と考えられる.従って断層位置は固定し,M=マグニチュードを変えることによりことによりすべり量を変化させる方法で断層を想定した法が良いのではないでしょうか.
回答
ご指摘のような断層モデルの想定手法も一つの方法であると思います.しかしながら,いつ,どこで,どれほどの規模の地震による津波が起きるか分からない現状から,津波の波源域となる断層モデルの位置やその規模(昭和・安政・宝永の歴史地震を考慮)を人為的に変化させることが必要であると判断しました.その結果として,沿岸住民が最も知りたい津波の発生位置や到達時間・津波高について一応の評価ができたと考えています.
討論者 田中茂信(建設省土木研究所)
質疑
仮想地震が発生したときに2回に1回は津波高が○mを越えるというように結論されているが,これが何年に1回という形に翻訳できなければ地域防災等に活かすことは難しいと思うのですが.
回答
南海道沖で発生するM8規模の地震・津波の発生頻度はおよそ100〜150年というのが定説となっています.次の南海地震は21世紀前半にも起きるといわれており,その間に津波防災対策を立てておく必要があります.歴史地震を振り返ると,どこで,どの規模の地震が起きるかについては現状では予知できないと考えられます.そこで人為的に断層モデルを移動させ,沿岸住民が最も知りたい危険度の高い津波の発生位置を把握するとともに,津波の到達時間,さらにその沿岸域で起こりうる津波高の頻度を提示することにより,地域防災に活かすことを考えました.