土木史研究委員会・土木史フォーラム小委員会
土木史フォーラム小委員会は土木史フォーラムの編集・発行を目的とし、土木史研究委員会内に設置された小委員会です。土木史フォーラムは土木史及び関連諸研究分野の情報を提供すること、相互交流の機会が少なかった研究者・愛好者達に自ら参加し、情報を発信・交換する場を提供することを目的としています。
土木史フォーラム小委員会委員長 武部 健一(土木史フォーラム創刊号から:なお、肩書きは当時のものです。)
土木は、大地にその痕跡を残しつつ人類の発展に寄与してきました。それは国土と地球の歴史的遺産であります。その土木が成し遂げた足跡をたどり、その意味を考えるのが土木史研究です。それはやがて体系化し、土木史学として位置づけられることになるでしょう。近年、土木史の研究はそれ自身が盛んになっただけでなく、その発展が社会から期待されています。それは国土開発にあたって、生活環境や自然環境との調和だけでなく、歴史環境との調和もまた強く求められることとなり、国土の歴史的遺産を継承しながら新しい国土環境を創造することが要請されるようになってきたからです。
土木史の研究は、これまで土木学会が中心となって進められてきました。例えば1936年に学会が刊行した「明治以前日本土木史」は、その顕著な業績の一つです。この大著は、単に技術界にとどまらず、江戸時代までの国土や民族の歴史に関心を持つ文学、芸能などを含めた各界の識者に広く愛用され、貴重な文献として現在に至ってもなお版を重ねているほどです。
また学会の土木史研究委員会によって毎年実施されている土木史研究発表会は、すでに15回を重ね、発表者の総数は400名を超え、日本国内のみならず、広く海外の土木史事例にわたって数多くの研究発表がなされて、研究発展に大きく貢献してきました。
土木史研究の発展は、土木史を専門的に研究しようとする人たちとともに、他の研究や業務の傍らで土木史に興味を持ち、自らもこれに参加してきた研究者、愛好者たちによっても支えられてきました。
土木史研究にはまた、歴史学、考古学、地理学、民俗学、文学その他の人文科学分野や、さらに建築学、機械工学その他の近隣諸工学分野との研究交流が不可欠です。土木史研究委員会では、土木史研究をより広く発展させる交流の場として、このたびニュースレター「土木史フォーラム」を発刊することとしました。これは本委員会のニュースレターとして、委員会活動はもとより、土木史ならびに関連諸研究分野の情報を提供するだけでなく、これまで相互交流の機会の少なかった研究者、愛好者たちに、みずから参加し、情報を発信、交換する場を提供しようとするものです。
当面は年3回の発行とし、関係のみなさまにお送りする予定です。今後このニュースレターを積極的にご活用になり、土木史研究に役立てていただければ幸いです。