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●災害と地域社会

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現代の,特に都市型の生活スタイルが定着した社会では,学校や会社への帰属意識はあっても,共同体としての「地域」を意識する機会は限られてきています.

しかし,自然災害から生命や財産を守ろうとするとき,私たちは自分が生活する「地域」について否応なく考えさせられます.たとえば今住んでいる地域で巨大地震が起きたとき,最も怖いのは揺れでしょうか,津波でしょうか,はたまた火災,液状化,集落の孤立でしょうか.あるいは,避難所となる小学校にはどういう人が集まり,誰が運営の指揮を執るのでしょうか.こうした問いに対する答えと対策は,「地域」という単位で考えるよりほかありません.災害は学校でもなく,会社でもなく,地域を襲うものだからです.

また,かつてはこうした問いに対し,住民は行政が用意した答えと対策に従っていれば間違いないと誰もが考えていました.しかし,阪神・淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)の苦々しい経験を経て,さらには地域社会が抱える問題そのものが多様化する中で,行政に依存した防災対策だけでは不十分であるとの認識が浸透してきました.

地域防災とは「災害から命や暮らしを守る」という視点から改めて共同体としての地域を見直す作業に他なりません.だからこそ,いわゆる自主防災組織や消防団といった防災の専門集団だけでなく,地元企業,まちづくり組織,福祉団体,その他のNPOなど地域に関心を持つ様々な人々が心と知恵を合わせて防災にも取り組むことで,その地域によりふさわしい,また多様な取り組みが生まれるのです.

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子どもたちと一緒に洪水時の危険個所を探すまちあるきの様子

(松田曜子:関西学院大学)

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