●大気汚染と自動車排ガス
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工場・自動車等から排出される大気汚染物質により空気が汚染されると,人に健康被害を与えます.主な大気汚染物質としては,一酸化炭素,二酸化硫黄,二酸化窒素,浮遊粒子状物質などがあり,最近では2.5ミクロン以下の小さな微粒子であるPM2.5が大きな問題になっています.これらについて,人の健康を守るため維持することが望ましい基準として環境基準が設けられており,その達成に向けて環境保全の取り組みが行われています.
近年は道路沿道の大気汚染が主たる課題でした.大気汚染対策の基本は発生源対策であり,排出ガス規制の強化などにより自動車単体の排出ガスは大幅に改善されています.一方,渋滞や交差点での発進加速などは排出ガス増加につながることから,渋滞対策や交通運用の高度化も重要な発生源対策です.また,大型車の影響が大きいため,物流の効率化も有効な対策です.一方,道路整備に当たって環境に影響を与えないような路線計画や,幹線道路沿いには住宅を立地しないなどの土地利用施策も同時に考える必要があります.このように様々な観点からの複合的対策が求められます.
我が国ではずいぶん改善されてきましたが,中国,東南アジアなど目覚ましい発展を遂げる新興国では今まさに対処すべき課題です.また,日本でも外国からの越境汚染の影響があります.技術協力なども含めた国際的な視点での対応が求められます.
(小根山 裕之:首都大学東京)