●環境配慮行動
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地球環境問題は国境をこえた人類共通の大きな社会問題です.この問題を何とかするため,例えば自動車会社は燃費のよいクルマを開発したり,国や地方自治体は環境にやさしいクルマの税金を低く抑える政策を行ったりしていますが,何より,一人一人の行動が環境にやさしい,環境に配慮したものに変わる必要があることが知られています.この問題は社会的ジレンマと呼ばれており,一人一人が「今の」「自分の」利益を追求すると,「将来の」「みんなの」利益が少なくなってしまう社会構造を意味しています.楽だし,一人で過ごせるし,乗り換えもないし...と皆が安易にクルマを使うと,交通渋滞が起きて皆が損をするだけでなく,多くのCO2が排出され,子供や孫の世代にも悪影響をおよぼしてしまいます.一人一人が,少しずつでも良いので環境にやさしい行動を心がけることこそが,環境問題を解決する特効薬と言えるでしょう.
土木計画学は,人々の環境配慮行動をうながすために,国や地方自治体の法制度や政策を考えたり(法学・政策科学),環境負荷のコスト(費用)を計算したり(経済学),人々の意識を計り,心を動かすポイントを押さえたり(心理学),それをどのように伝えたらよいかを考えたり(教育学,マーケティング)と,様々な分野の研究成果を応用できる総合的な学問なのです.
(谷口 綾子:筑波大学)