●交通行動の調査
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渋滞や交通事故,過疎地におけるモビリティの問題などの交通問題を解決するためには,道路や公共交通機関などの交通施設の利用実態を把握すると共に,移動の原単位となる人や物の動きを把握する必要があります.このうち,人に着目した調査を交通行動調査と呼びます.
交通行動調査では,いつ,誰が,どのような目的で,どの交通手段を利用して,どこからどこへ移動するのかを調査します.また,多くの移動は異なる地点で何らかの活動を行うために派生的に生ずることから,移動だけでなく,活動の詳細を尋ねる場合もあります.こうして得られた調査データを分析することで,交通行動や交通問題のより深淵な理解につながるほか,対策の立案や,対策による生活の質の変化を評価することができるようになります.
交通行動調査では,久しくアンケート調査が用いられてきましたが,質問項目が多いために長期間の調査が困難であるなどの問題があります.そこで,最近では,GPS携帯電話やカーナビ等を活用したプローブ調査が用いられるようになり,交通行動を長期に渡って精確に調査できるようになっています.
また,新規交通サービスを実施した場合の行動変化を把握する目的で,「仮に新たに鉄道路線が新設された場合,あなたは利用しますか」というような形式で,政策が実施された状況での行動意向を尋ねる選好意識(Stated Preference; SP)調査を行うこともあります.こうして得られたデータは,交通政策の実施効果の分析や望ましい交通サービスの検討などに活用されています.
(倉内 慎也:愛媛大学)