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●交通安全

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 交通事故の原因は様々ですが,多くの場合,その原因は複数の要因が組み合わさっています.それらは,運転者や歩行者などの認知・判断・行動に関する人的要因,道路構造や交通規制,気象状況などの環境要因,車両故障や整備不良などの車両要因に大別されます.見通しの良くない道路で速度を出し過ぎて歩行者に気づくのが遅れ,ハンドル操作で避けたものの,摩耗していたタイヤがスリップしてガードレールに衝突するということも考えられます.交通安全への取り組みには,交通事故データの解析や,車両実験等により,交通事故の要因を分析したり,危険個所を抽出し,様々な対策を実施することが挙げられます.交通安全対策には,交差点や道路線形の改良や信号等の交通運用の改良などの対策,エアバッグやアンチロックブレーキなどの車両の対策などがあり,近年では,前方の渋滞や障害物を運転者に伝える情報システムや安全車間距離保持システムなどの高度道路交通システム(ITS: intelligent transport systems)も活用されています.一方で,交通事故は稀な事象であるため,施策効果の評価が容易でないこともあります.統計解析手法を駆使した評価や,交通事故には至らない危険な事象(ヒヤリハット)を用いた評価により,より効果的な対策を推進することが重要になっています.

(山本 俊行:名古屋大学)

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