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●財源と資金の調達

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橋を架けたり,防波堤を造ったりするために必要となる財源は,主に税金です.ただ税金といっても色々あります.そのまちの人のための土木構造物には市町村税が使われ,都道府県や国のように広い範囲の人が使うものには都道府県税や国税が使われます.まちの活性化や災害から守るというような政策に合致したものであれば,補助金が出されます.土木構造物は長い間使われますから,将来世代にも負担してもらうために,公債(公共機関による債券)を発行して資金とし,後に税金で返す方法もあるでしょう.このように,土木構造物は,誰のためのものか,どんな目的か,いつ便益を提供するかなど,色々なことを考えながら,ふさわしい財源を組み合わせています.

今,問題になっているのは,古くなった土木構造物を改修・更新するためや,大規模災害への備えのための財源がないことです.この場合,一時にたくさんの資金が必要になるのですが,それが不足しているために,先延ばしになっています.そこで,その問題を解決するために,民間資金を調達する方法が考えられています.例えば,PPP(Public Private Partnership:官民連携)/PFI(Private Finance Initiative)と呼ばれる方法は,最終的には税金で負担するとしても,そのとき必要な資金の調達を民間企業に任せ,必要な土木構造物を必要なときに造ってもらう方法です.さらに,設計,建設,維持・管理などの詳細を任せてしまうことで,より高いサービス水準になるよう工夫し,民間企業にも人々にもメリットのある事業にすることを狙いとしており,既に実績をあげています.

土木計画学は,ただ構造物を造るだけでなく,財源や資金の調達方法も考えます.そして,それらを考えることは,その土木構造物をいつ,どのように造らなければいけないか,どうすれば多くの人にメリットをもたらすような良いものになるか,ということを考えることにもなるのです.

(北詰恵一:関西大学)

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