●国土計画
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国土計画は,国土(国家の領土)を対象とした長期的・総合的・空間的な計画です.その歴史は古代国家による領土内の道路建設にまで遡ることもできますが,近代的な意味での国土計画の背景には,戦前の世界恐慌を契機として,国内(および植民地)の自立的な経済圏を形成するために,有する資源や労働力を有効に活用し,効率的な生産活動を行うための計画が求められたことがあります.日本では,戦後の治山治水や経済復興,大都市圏への集中による過密過疎,地域格差の拡大など全国的な課題に対して,国土の均衡ある発展を目標に,全国総合開発計画に基づく高速道路,新幹線などの都市間インフラ整備や,地方拠点開発(人口・産業の地方分散)などが行われてきました.しかし,環境問題への意識の高まりやグローバル化,地方分権の進展,人口減少・少子高齢社会の到来,厳しい財政状況の中,国土計画のあり方が問われています.開発重視からストックを活用する成熟型の計画への転換,大都市圏の国際競争力の強化,人口減少・高齢化が進む地方都市や集落の問題,国主導ではなく多様な主体の協働による計画・実現の仕組みづくり,今後大きな被害をもたらすことが予想される自然災害への備えなどが重要なテーマとなっています.
(片山 健介:東京大学)