橋はいつごろからあるの?

<日本の橋>

甲斐の猿橋

 7世紀初めごろに、百済からの帰化人によって架けられたとされています。勿(はね)橋と呼ばれる形式で、橋脚(橋を支える柱)を使わないで、両側より張り出した木材の上に水平な桁を架け渡した構造です。モンゴル、中国が起源と言われており、日本の3奇橋のひとつに数えられています。

 

かずら橋

 徳島平野を流れる吉野川の上流の祖谷(いや)川には、今もかずらをロープに用いた吊橋があります。長さは47メートルもあり、谷間で隔てられた村々を結ぶ重要な連絡路となってきました。かずらやふじで編んだこの種の吊橋は、明治初期までかなり見られましたが、現在では四国のかずら橋を残して姿を消してしまいました。

 

錦帯橋

 岩国藩主によって延宝元年(1673年)に最初の橋が架けられたあと、何代にもわたって原型に忠実に再現され、架け替えられてきました。反り橋と呼ばれるわが国の伝統的な橋梁技術であり、今日でいうアーチ橋です。

 

通潤橋

 石造りの眼鏡橋は九州、沖縄地域に300橋近くありますが、その半数は熊本県にあります。この通潤橋もそのひとつで、幕末の1854年に架設された石積アーチの水路橋です。この橋を建設した石工の技術は、明治に入って東京の江戸橋、日本橋、二重橋の建設に生かされました。

 

<世界の橋>

舟橋

 多数の舟を浮かべてこの上に床板を敷きつめて橋としたもので、紀元前537年にペルシャ王サイラスが、軍事用に用いたのが最初といわれています。ローマ人も軍事用に仮橋としてこの舟橋を架設し、その後近代に至るまで洋の東西を問わず、広く用いられてきました。


撮影者:(株)アルゴ都市設計 長屋静子

ガール水道橋(フランス、ニーム)

 石造アーチは、古代ローマ人が得意とした技術で、多くの石造アーチの水道橋が架設されました。今日まで残っている紀元前19年に架設されたガールの水道橋はその一つです。

 

リアルト橋(イタリア、ベニス)

 水の都ベニスの水路に架けられた、橋の上に家屋を持つアーチ橋です。1591年に完成し、長さは27メートルあります。橋の中央に道路があり、両側には多くの店がのきを連ね、その外側の橋の欄干までの間は歩行者道路になっています。

 

安済橋(中国、河北省)

 石造アーチは、中国でも古くからつくられてきました。この橋は長さ50メートルのアーチで、7世紀初めの隋の時代につくられたものです。アーチの石材の継ぎ目には、鉄材が用いられています。

 

アイアンブリッジ(イギリス、シュロップシャー)

 1779年に架設された世界で最初の鉄橋です。18世紀の後半は、豊富で安い石炭を燃料として産業的な鉄の生産が行われるようになった時期で、この橋は、橋梁材料に鉄が初めて用いられた例です。それ以前の伝統的石造アーチの技術に、新たな製鉄技術の組み合わせで建設されたもので、長さは約30メートルあります。