未来の橋はどうなるの?

日本の長大橋構想

 将来の日本は、バランスのとれた発展を図るために、東海道や山陽道のような幹線となる新たな交通軸が必要になります。そのためには、海峡を横断する連絡橋が必要なのです。

紀淡連絡道路

 和歌山県紀伊半島と兵庫県淡路島の間約10Kmを結ぶ計画です。明石海峡大橋をはじめとする本州四国連絡道路とともに、大阪湾を囲む道路の一部として長大吊橋や斜張橋が計画されています。

 

津軽海峡道路

 北海道の南端と青森県の下北半島、津軽半島を結ぶ計画です。どちらも海峡の幅は約20Kmです。北海道と本州は、青函トンネルの完成で、鉄道で結ばれていますが、この海峡連絡橋ができると、高速道路でもつながることとなります。

 

東京湾口道路

 神奈川県三浦半島と千葉県富津の間約10~15Kmを長大吊橋や高架橋で結ぶ計画です。東京湾アクアラインとともに東京湾を囲む道路の一つとして計画されています。

 

伊勢湾口道路

 愛知県渥美半島と三重県志摩半島の間約20Kmを結ぶ計画です。伊勢湾を囲む道路の一部として長大吊橋や斜張橋が計画されています。

 

豊予海峡道路

 四国の西端の愛媛県佐田岬と大分県佐賀関の間約14Kmを結ぶ計画です。これができると四国と九州の間が直接結ばれることとなります。

 

第二関門道路

 山口県下関市と福岡県北九州市の間の関門海峡は、橋(関門橋)とトンネルで結ばれていますが、さらに本州と九州の間の道路交通を便利にするために、長大橋の建設が計画されています。

島原、天草、長島連絡道路

 長崎県、熊本県、鹿児島県の3つの県を島づたいに結ぶ計画です。九州西海岸地域の広い範囲が道路で結ばれます。

 

世界の長大橋構想

 世界の中には、日本と同様に長大橋を必要とする国が少なくありません。

 

ベーリング海峡連絡橋

 アメリカ(アラスカ)とロシアの両大陸間に位置するベーリング海峡を結ぶ連絡橋計画で、1980年代半ばにT.Y.Linによって提案されました。

 

メッシナ海峡連絡橋

 イタリア本土とシチリー島を、中央スパン3,300mの長大吊橋で結ぶ計画です。

 

ジブラルタル海峡連絡橋

 ヨーロッパ大陸(スペイン)とアフリカ大陸(モロッコ)を結ぶ連絡橋計画です。中央スパン3,550mの3つの連続した吊橋からなる全長24.5kmの超長大橋です。ただし、当面はトンネルの建設が予定されています。

 

ウレスンド海峡横断プロジェクト

 デンマーク(シェラン島)とスウェーデンを橋とトンネルで結ぶ計画で、全長は約16Km(東京湾アクアラインとほぼ同じ長さ)です。これは4車線道路と鉄道(複線)から計画されており、1994年末に事業が開始され、2000年に完成の予定です。また、デンマークとドイツを結ぶ計画(フェーマーンベルト海峡横断計画)もあります。

 

イズミット湾連絡橋

 トルコのイスタンブール近郊のイズミット湾を中央スパン1,700mの吊橋で結ぶ計画で、来年度から工事が開始される予定です。また、ヨーロッパとアジアを結ぶ吊橋としてダーダネル海峡連絡橋も計画されています。なお、トルコでは既にヨーロッパとアジアを結ぶ橋として、ボスポラス橋(中央スパン1,074)と第2ボスポラス橋(中央スパン1,090)が供用中です。

インドネシア4島連絡計画

 インドネシア4島連絡計画は、インドネシアの中心に位置するジャワ島と、その近隣のスマトラ島、マドラ島、バリ島をそれぞれ連絡するものです。このうち、ジャワ-マドラ間の約5kmについては、水深が浅いこともあり、橋梁で計画されていますが、最小幅が約27kmにもなるジャワ-スマトラ間(スンダ海峡)は、橋かトンネルかを含め未決定です。

マラッカ海峡連絡計画

 マレーシアのマハティール首相が、昨年秋にマレーシアとインドネシアのスマトラ島の間のマラッカ海峡に橋を架ける構想を提案しました。

 

これからの橋のために(21世紀への架橋技術)

 橋のつくり方は、まず大地に基礎をつくり、橋脚と塔をたててその間に橋桁を渡す方法が普通ですが、それよりはるかに長い橋をつくる場合には、もっと別の方法を考えなければなりません。
 例えば、吊橋を斜張橋で吊るような二つの方法を組み合わせた橋や、海に浮かべたり、水中を通したりする橋などが提案されています。
 水中を通す橋はトンネルにもなり、超長大橋の将来は、橋とトンネルの区別がなくなるかもしれません。
 現在の橋は、主にコンクリートと鋼材でつくられていますが、これからはいろいろな材料が開発され、使われていくことでしょう。