シールドトンネルを発明したのは、イギリスのブルネルという技師です。彼は、船の木材を食べながら後ろを殻で固めていくフナクイムシをヒントにして、シールドを発明しました。このアイデアは、ロンドンのテムズをくぐる水底トンネルで初めて使われ、今から約150年前に完成しました。このブルネルが作った世界最初のシールドトンネルは、今もロンドンの地下鉄として使われています。
日本最初のシールドトンネルは、大正6年に秋田県にある羽越線・折渡トンネルで初めて使われました。このトンネルは地盤の圧力が強く、それまでの方法ではうまく掘れなかったため、シールドを使ってトンネルを完成させました。シールド工事は日本では誰も経験したことがなかったので、関係者は外国の本を参考にしながら苦労して完成させました。
私たちのいちばん身近なシールドトンネルは、地下鉄のトンネルでしょう。昭和2年に日本で初めての地下鉄ができた頃は、開削工法でトンネルをつくって地表の近くを走っていましたが、だんだんトンネルをつくる場所がなくなり、昭和30年頃からもっと深いところを掘ることのできるシールド工法が使われる使われるようになりました。地下鉄の先頭車からトンネルを見ると、開削工法のトンネルは四角い断面、シールド工法のトンネルは丸い断面となっているのですぐにわかります。
営団地下鉄半蔵門線のトンネル断面(丸い断面がシールドトンネル)
シールド工法で完成したJR京葉線のトンネル
ロンドン地下鉄が通る現在のテムズ川トンネル