その昔、トンネルを掘る作業はとても危険が多くて大変でした。くずれやすい岩やあふれてくる地下水との戦いは、トンネルの歴史そのものでした。しかし、今ではコンピュータやロボット技術の導入によって、少ない人数で安全に掘ることができるようになりました。地山やシールドマシンの状態は、すべてコントロールルームの画面に表示され、自動的にマシンの位置を修正することができます。またセグメントは、ロボットが自動的に組み立てます。
双子のシールドがねじれたり、分かれたり
このシールドは、2つのシールドマシンがねじれたり、分かれたりして2本のトンネルを自由に掘ることができます。ふたつのトンネルが横に並んだり、分かれたりしていろんな堀り方が工夫できます。
直角にほホルンだ
ホルンという名前のこのシールドマシンは、ヘッドの部分を途中で回転させて直角に掘ることができます。ホルンを使えば、トンネルどうしが直角に交わるような場所でも簡単に掘れるのです。
急カーブでもスイスイ
体の大きなシールドマシンが急カーブを曲がるのは大変ですが、真ん中が折れる中折れシールドを使えば、急カーブでもスイスイ曲がれます。もちろん、上に向ければ急な坂でも掘ることができます。
四角い断面でもだいじょうぶ
普通のシールドマシンは、強い圧力にも耐えられるように円形断面で作られますが、最近では四角い断面やだ円形のシールドマシンも開発されています。カッタを四角やだ円形に回転させるために、クランクの原理が応用されています。
3つのトンネルも一度に掘れるんだ
今までのシールドトンネルは、1つのマシンで1本のトンネルしか掘れませんでしたが、カッタヘッドを3枚ならべたこのマシンでは、3本のトンネルが一度に掘れます。写真は営団地下鉄南北線の白金台駅を掘るために開発されたマシンで、高さ10.04メートル、幅15.84メートルもあります。
東京湾アクアラインでは、直径14.14メートルの大断面シールドマシンが活躍しましたが、さらに大きなシールドマシンも作られています。これは、営団地下鉄南北線の南麻布工区で使われる直径14.18メートルのマシンで、世界最大です。このマシンは、抱き込み式親子シールドと呼ばれ、イラストにあるように直径14.18メートルのマシンで途中まで掘って、そこから先は内側にある直径9.70メートルのマシン(写真の青い部分)が分かれて掘り進んでいきます。その様子は、あたかも母親に抱かれていた子供が自分の力で歩きはじめるように見えるため、このような名前がつけられています。