土木と人・教育
文明をつくり,次の世代につなぎ,豊かな社会を創造することは,人の仕事です。
ここでは,土木と人,生活との関わりを,土木技術者の姿,人物解説から紹介します。
歴代会長紹介
「本会の会員は技師である。技手ではない。将校である。兵卒ではない。すなわち指揮者である。故に第一に指揮者であることの素養がなくてはならない。そして工学所属の各学科を比較しまた各学科の相互の関係を考えるに、指揮者を指揮する人すなわち、いわゆる将に将たる人を必要とする場合は、土木において最も多いのである。(・・・)土木は機械、電気、建築と密接な関係あるのみならず、その他の学科についても(・・・)絶えず相互に交渉することが必要である。ここにおいて『工学は一なり。工業家たる者はその全般について知識を有していなければならない』の宣言も全く無意味ではないと言うことが出来よう。(・・・)会員諸君、願わくば、本会のために研究の範囲を縦横に拡張せられんことを。しかしてその中心に土木あることを忘れられざらんことを。 」
社団法人土木学会第一回総会が開催されたのは1915(大正4)年1月30日です。古市公威は初代会長として講演し,過度の専門分化により会員が専門性のみに安住して,土木の本来性が失われることを戒め,土木が土木たる所以である総合性を強く会員に喚起したのでした。土木工学の原点を示すものとして,示唆に富む内容が提起されています。
『もし工学が唯に人生を煩雑にするのみのものならば,何の意味もない。工学によって数日を要するところを数時間の距離に短縮し,一日の労役を一時間にとどめ,人をして静かに人生を思惟せしめ,反省せしめ,神に帰るの余裕を与えないものであるならば,われらの工学はまったく意味を見出すことはできない。』とは,第六代の廣井 勇会長(1919(大正8)年在任)の言葉です。
土木工学を研究し,現実のさまざまな問題を解決し,文明を築いた土木技術者集団のトップにあった歴代の土木学会会長から,土木工学の歩みを考えてみます。
活躍する土木技術者
現代社会,そして未来に向かい,安心・安全な国土をつくり,人々が衛生的な暮らしを送ることができ,活発な経済活動を支えるためには,様々な施設や構造物の事業を計画し,建設する必要があります。そこには,解決しなくてはならない様々な技術的な課題が存在します。
未来に向かい,いま,土木技術界の第一線で活躍する土木技術者を紹介するページです。第一線の技術者の「声」,「語り」から豊かな国土づくりを考えてみます。
Web版「行動する技術者たち」
この企画は,平成18年2月から平成20年4月まで20回にわたり,土木学会誌の誌面で「行動する技術者」として紹介してきたものを,土木学会HPに場所を移したものです。引き続き,各地域の再生にむけて,新しい価値をつくり出している技術者を紹介し,新たな時代の国土・地域づくりに対する先駆者たちの努力と挑戦の取り組みを紹介することを通じて「行動する技術者」に求められる資質を探っていくものです。
インタビュー「土と風の対話」
この企画は土木学会の取材協力のもと,作家の山岡淳一郎氏をインタビュアーに迎え,土木界を支えてきた著名な方々(森地茂,高橋裕,山根孟,仁杉巌,丹保憲仁,西川和廣,田代民治,脇 雅史の各氏)をお招きして,岐路に立つ土木の過去・現在・未来を語っていただいたものです。題して「土と風の対話」,2013年3月~9月にかけて行われた全14回の連載対談企画です
女性土木技術者とキャリア
グローバル化が進む現代社会において,多様な人々が豊かに暮らす社会を創るためには,ダイバーシティ(多様性)が求められます。土木技術者の世界でも多様な人々が活躍をしています。ここでは,女性土木技術者に焦点をあて,土木の仕事,今後の技術者のあり方を考えます。
キャリアを継続する女性土木技術者
多様な分野,経歴,年代の女性土木技術者が語る「仕事における最大の危機」や,「アドバイス」。 身近に女性技術者がいない,自分の将来の姿が想像できない…。そんな悩みを抱えるあなたに,仕事の分野も土木への関わり方も異なる女性土木技術者をご紹介します。キャリア継続に戸惑った時に「あの方でもこんな時期があったっけ」とか、「この困難の先には、あの方のような展開があるかもしれない」などと思い出してください。
土木と200人(日本編),近代土木と100人(外国編)
土木事業や土木技術の開発は個人の力だけによるものではありませんが,しかし,手間ひまをかけ,事業や技術開発の中心として活躍をした個々人とその系譜を知ることは,土木やその成果である国土づくりを理解するために大切な役割を持っています。
土木と200人
「人を通してその時代を観る」「人の住む世界への奉仕が第一義である土木界こそ人を知ることを忘れては成立しない」ことを出発点として,土木学会誌に「土木と100人 第68巻9号(1983(昭和58)年8月号)」「続土木と100人(第69巻6号(1984(昭和59)年6月号)」という特集記事が掲載されました(この2度にわたる特集記事をひとまとめにし,別刷としたものが『土木と200人』という小冊子で,学会70周年記念事業の際に配布され,各方面から評価されたとのことです)。
わずか200人でこれまでの土木技術者の活躍を語ることはできませんが,古代から昭和の時代まで活躍した土木技術者(お雇い外国人を含む)について,そして,土木の営みが人々の手によるものであることに思いを巡らせます。
近代土木と外国人
上記を刊行した直後に「ぜひ外国版をやって欲しい」との要望があがったことから,近代以降の著名な外国人土木技術者を100人に絞ってとりまとめられたものが,「近代土木と外国人」という特集記事として「土木学会誌第72巻6号(1987(昭和62)年6月号)」に掲載されました。
当時の編集委員会(木村孟編集委員長)によれば,この特集を「外国の土木の先達に関する情報収集の一歩」と位置付けたとあります。木村編集委員長は「はじめに」の末尾に以下のように述べています。
「日本は国際社会に変貌しつつあるともあるいはすでに変貌したとも言われる.しかし,6か月ほどの編集作業を通じて,外国はまだ日本の中にはなく,はるかかなたにあることを痛切に思い知らされたのである.」
土木の歴史,成果
「……土木事業は人類が集団生活開始以来行われてきたので,その歴史も他の技術より長いものをもっている。」「土木技術は自然界を相手とし,一度実施された事業は大地に刻み込まれ,次の事業の下絵となる。新たな土木事業でも,従来の技術行使の履歴を無視することはできない。一般に土木事業は広い空間を対象とすることが多く,実物テストは行えず,一度完成すればやり直しがきかない。したって,従来の土木事業とその技術を常に教訓とすることがきわめて重要である。……」
これは,「土木用語大辞典」の「土木史」の説明の一部です。
未来の国づくりに大切な視点を,人類の歴史とともにあったこれまでの土木の営みが与えてくれます。
ここでは,これまでの土木の歴史や土木事業の成果,技術の発展などを,図面や写真など多種多様な資料で紹介します。
ドボコレ~土木の歴史と未来の図面・写真集
日本が近代国家として国づくりを進めていた明治から昭和初期にかけて,土木技術者たちは,高い志,熱意,プライドを持って,自らの技術を社会の発展に向けてきました。その現れの一つに,橋梁(きょうりょう)をはじめとする土木構造物の図面があります。その図面は一枚,一枚が繊細な手書き図面であり,当時の技術者の思いが込められたものです。
また,持続可能な社会が目指されている現代において,未来を先取りする先駆的な土木事業も各地で進められています。それらからは私たちにこれからの社会を支える基盤施設のあり方を見て取ることができます。
ここでは,図面や写真によって,先人の想い,そして未来を指向した施設・構造物を紹介することで,国土づくりのあり方を考えてみます。
土木遺産の世界
「土木遺産」という言葉を聞いたことのある人は少なくないと想います。
土木学会は,2000(平成12)年に,「選奨土木遺産制度」を創設しました。安心・安全な国土,豊かな国土づくりに貢献してきた土木施設・構造物を「土木遺産」として顕彰することにより,国土づくりの技術である土木工学とその成果を広く国民に関心を持ってもらい,地域の自然や歴史・文化を中心にした地域造の資源として活用していただくこと。そして,土木技術者が,先輩技術者への敬意,将来の文化創出への認識と自覚などを持つために,「選奨土木遺産制度」が創設されました。
ここでは,「選奨土木遺産制度」によって選奨された土木遺産の紹介を中心として,私たちが安心・安全に暮らし,快適で豊かな生活を営むために,土木技術が果たしてきた役割を考えてみます。
土木学会田中賞~賞に輝いた橋たち
「土木学会 田中賞」は昭和41年度より,橋梁・鋼構造工学に関する優秀な業績に対して授与されている学会賞です。
橋梁に関する技術の進歩,発展に顕著な業績を上げたと認められる者を対象とする「研究業績部門」,土木学会刊行物に発表され,計画,設計,製作・施工,維持管理,考案,歴史などに関連して橋梁工学の発展に大きく貢献したと認められる論文,報告の中から選ばれる「論文部門」,橋梁およびそれに類する構造物の新設または改築で,計画・設計・製作・施工・維持管理などの面においてすぐれた特色を有すると認められるものについて選考される「作品部門」の3つの部門があります。
ここでは,「作品部門賞」を獲得した橋梁を紹介します。優れた技術によって建設された橋梁を通して,未来をつくる技術を考えてみます。
土木のあゆみ
『日本の土木技術 100年の発展の歩み』
土木の歩みは,人類の文明の歩みでもありました。ここでは,土木学会で活躍した技術者が書き表した土木の歴史について書かれた書物から,国づくりの技術の歩みの上に,私たちのいまの生活があり,そして,現代社会で暮らす私たちの国づくりが,未来の人たちの生活につながっていることを考えてみます。ここでは,50周年記念事業として刊行された『日本の土木技術 100年の発展の歩み』について見てみることにしましょう。
土木のいろいろ
一世紀に渡る活動によって,土木学会には様々な資料が集まり,また,多種多彩な人材が学会活動を通して交流し,研究成果をあげています。 ここでは,土木学会の様々な取り組みの一端を紹介し,国づくりの技術が多様かつ奥深いことを見て行きます。
土木学会が創った映画
動画は私たちに多くのことを見せてくれます。土木学会では第二次世界大戦前から,建設記録あるいは災害の記録を映像化し,技術の進歩に役立ててきました。 ここでは,土木学会のこれまでの取り組みを紹介し,また,土木技術の映像記録から国土づくりの技術を考えていきます。
てのひらの土木遺産(土木遺産ARアプリ)
私たちの日常生活のなかで,土木遺産を身近に感じ,国づくりの歩みを知るのが, 土木遺産ARアプリです。スマートフォンなどにインストールすることで,私たちの手の中を通して,実際の土木遺産に近づいて行きます。
土木365日 今日は何の日?
私たちのくらしの環境はこれまでの土木事業によって,豊かなものとなってきました。その歩みをカレンダー形式で紹介するものが,「土木365日・今日は何の日?」です。いまから50年前の今日,どんなことがあったのでしょうか。「土木365日・今日は何の日?」では資料への道しるべが書かれています。ぜひ,その日の出来事を取り上げている資料を手に取り,出来事の背景や物語りを知ることで,国づくりのこれまでを考えてみてください。
応用力学Wikipediaプロジェクト
インターネットを通してアクセスできるフリーの事典として多くの人が利用するWikipediaですが,応用力学を専門とする大学教員や大学院生を中心として,専門分野の用語解説に取り組んでいます。専門家が解説を作成することで多くの人に最新の学術成果をもとにした言葉の解説を提供しています。あわせて,若手技術者,研究者が用語解説を作成するワークショップに参加することで,先人の業績を学び,専門とする応用力学分野の理解を深める取り組みも行っています。ここでは,そのような取り組みから生まれた用語解説集から,土木工学の基礎を支える応用力学分野を紹介していきます。