関東の土木遺産 関東の土木遺産
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栃木県/宇都宮市/日光市
うつのみやしすいどうしせつぐん
宇都宮市水道施設群
平成17年度認定(2005年)
■写真@ 今市浄水場管理事務所(現 宇都宮市水道資料館)  写真@ 今市浄水場管理事務所(現 宇都宮市水道資料館)

■写真A 第六号接合井  写真A 第六号接合井

■写真B 戸祭配水場  写真B 戸祭配水場
 宇都宮市水道施設は、1913(大正2)年12月に着工し1916(大正5)年3月に竣工した、わが国で31番目となる近代水道施設です。1985(昭和60)年には、厚生省(現在の厚生労働省)により水道施設の顕彰等を目的として実施された「近代水道百選」の一つとして、今市浄水場が選定されています。また、これらの施設は、2006(平成18)年10月18日に、国登録有形文化財として文化庁の「文化財登録原簿」にも登録されました。
 今市浄水場は、日光街道に面した今市市瀬川(現日光市)に、浄水能力10,000㎥/日として建設されました。創設当初に管理事務所として築造された建物は、矩形と円筒形を組み合わせた白を基調とした洋館で、矩形部分のドーマー窓のある赤い半切妻屋根や円筒部分の赤い屋根・庇とのコントラストが、優美な印象を与えています(写真@)。現在この洋館は、宇都宮市水道資料館として保存・活用されています。また、敷地内にある旧着水井・旧フロック形成池、さらに円筒状の出水井の上屋は煉瓦で組成されており、創設当時の面影を今に伝えています。
 第六号接合井は、今市浄水場で処理された水を約26q・標高差240mの戸祭配水場まで送水する際に、送水管にかかる水圧を緩和するため6箇所設置された接合井の一つです。これらの接合井は、標高が約30m下がる毎に1箇所設置されました。1949(昭和24)年の地震による被害により、当時のまま現存するのはこの第六号接合井だけです。日光街道沿いの小高い丘の上に立つ八角形の建屋は、赤煉瓦と地元産大谷石の白い隅石による構造で、威風堂々とした風格が感じられます(写真A)。
 また、戸祭配水場は、宇都宮市に近代水道が創設されて以来、現在も現役で稼動している施設です。配水池の側面は、艶のあるやや黒味がかった煉瓦で組成されています。全体をフランス積みで組成し、5段の竪積みによる12連のアーチが連続する景観は圧巻であり、創設に携わった当時の技術者の高い美意識とともに、近代の精華が息づいています(写真B)。
所在地: 栃木県宇都宮市、日光市
竣工年: 今市浄水場 大正5年
第六号接合井 大正5年
戸祭配水場 大正5年
構造形式等: 今市浄水場 :
旧管理事務所:木造2階建洋風建築
旧着水井等:煉瓦造
第六号接合井 : 煉瓦造
戸祭配水場 : 煉瓦造(フランス積み)
授賞理由: 北関東最大の都市である宇都宮市の水需要を支え、創設期の雰囲気を伝えている。煉瓦造を中心としながらも随所に地元産の大谷石が使われ、また日光杉並木を背景とするなど地域性にも優れている。
管理者: 宇都宮市
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