■大日影隧道の東坑口(ポータル)
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■大日影隧道の内部
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■大日影隧道の西坑口(ポータル)
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この鉄道隧道群は、山梨県甲府盆地の東の玄関口であり、旧国鉄およびJR東日本の鉄道トンネルとして明治35年から95年間使われてきました。
【大日影隧道:全長1.4km、深沢隧道:全長1.1km】
大日影隧道は勝沼ぶどう郷駅から歩いて数分のところにあります。建設時の原型をそのまま残し、鉄道トンネルの雰囲気を味わえる遊歩道として2007年夏から一般に公開されています。レールがそのまま残るトンネル内は、建設当時の煉瓦積みが照明に映え、両側に設けられた歩道を歩いていると、向こうから機関車が走ってきそうな不思議な雰囲気を醸し出しています。鉄道トンネルを再利用した遊歩道としては、日本一の長さです。勝沼ぶどう郷駅は1913年(大正2年)にスイッチバック駅とて開業しました。
駅から東に歩いていくと、昭和39年頃に輸送を支えてきたEF6418電気機関車が展示されています。さらに歩くとスイッチバックの跡もみられます。そこから階段を上っていけば大日影隧道の西坑口です。
大日影隧道を抜けて谷を渡ると深沢隧道です。深沢隧道はトンネル内が年間温度6度〜14度、湿度45%〜65%とワインの熟成には最適なことを生かして、 2005年5月からワイン貯蔵施設「トンネルワインカーブ」として利用し、話題となっています。現在、全国のワイン愛好家や町内のワインメーカーが利用しています。
江戸時代から中央線が開通するまで、勝沼の葡萄は馬の背に乗せ甲州街道を江戸間で6日かけて運んでいました。明治36年に開通した中央線によって半日でしかも大量に送れることになりました。今まで酸味の多い甲州種葡萄しか長時間かけた輸送ができませんでしたが、トンネル開通によって様々な品種を市場に送ることができるようになりました。明治35年に開通した笹子トンネル(全長 4.5km)とともに、この2つのトンネルが勝沼の葡萄産業を支えてきたと言えます。
鉄道の廃線によるトンネルは全国各地にありますが、この2つのトンネル周辺には多くの近代遺産が多く残っています。トンネル工事の技術を応用した龍憲セラー(ワイン貯蔵庫)、中央線と葡萄畑を水害から守った勝沼堰堤(登録文化財)や日川堰堤群、コンクリートアーチの祝橋(登録文化財)などがあります。甲州市勝沼ではこれらの歴史的文化遺産を遊歩道で連結し、まちづくりを進めています。
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