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栗山配水塔は、昭和9年に創設された県営水道創設時の「江戸川水源工場」(古ヶ崎浄水場)の施設の一部として建設された。鉄筋コンクリート造り、ドーム状塔屋で頭部に4本柱の換気口を有する円筒形貯水槽で、昭和12年3月31日に完成したものである。
設計施工は、第9代水道局長・水道事業管理者の式田十郎氏が担当したもので、土木機械器具、資材の貧弱な昭和初期の時代にあって建設されたものであるが、昭和55年に、建設依頼約43年ぶりに水抜きして塔内整備を実施したが、内部の水没部の壁面はクラック等の発生が少なく、創設当時のものとは思われないほど原形を保っていたと記録されている。
当時は、約5km離れた古ヶ崎浄水場から水をポンプ圧送して配水塔へ揚水し、その圧力により市川・浦安市をはじめ千葉市検見川町などに配水していた。
この配水塔は、歴史の中で1度だけ黒いドレスを着たことがあった。昭和18年頃、太平洋戦争で爆撃が激しくなってきたため攻撃目標とならないよう黒ペンキで塗ってしまったのである。
現在では、栗山浄水場の配水塔として、当時のままの姿で松戸市一帯約20万人の配水を担うとともに松戸市給水場や船橋給水場への配水管の調圧水槽として重要な役割を果たしている。
栗山の高台に厳然と建っている姿は、県営水道創設のシンボルとして貴重な歴史的景観をなしている。
かつては、総武線や京成線の車窓から全体が眺望できたといわれているが、現在では、周辺のビル、マンション等の都市開発により遠方からはわずかに塔屋のみが眺められる。 |
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所在地: |
千葉県松戸市 |
竣工年: |
昭和12年 |
構造形式等: |
円筒ドーム形鉄筋コンクリート造り |
授賞理由: |
千葉県水道創設時の円筒形高架水槽で、ドーム状塔屋、頭部に4本柱の換気口をもつ。現役で配水を担い、地域の歴史的景観をなす。
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管理者: |
千葉県 |
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