1872(明治5)年に明治政府が招聘したオランダ人技師リンド(Isaac Anne Lindo)により設置された、利根川・江戸川などの河川整備のための水位表記の基になった水準原標である。
リンドは、利根川・江戸川・新利根川の11箇所に水位尺(量水標)を設置して水位観測を行うとともに、1872(明治5)年末に千葉県銚子市馬場町の飯沼に水準原標石を設置し水準測量の原点と定め、飯沼水位尺の零位を『日本水位尺:J.P.』とした。また、堀江水準原標石(千葉県浦安市堀江)の設置による『Y.P.』、隅田川河口の霊岸島の『A.P.』としている。
現在、わが国で使用されている『日本水準原点』はこれらの水準原標石の設置がその出発点であり、その一つである飯沼水準原標石はわが国近代測量史上貴重な土木遺産と言える。同じくリンドにより設置された堀江水準原標石も、平成19年度選奨土木遺産に認定されている。
なお、現在、当施設を管理しているのは圓福寺という寺院であり、住職がその保護・活用に極めて熱心であり、歴史的価値のPRやその保存に力を入れていきたいという考えである。今回の選奨土木遺産の認定を契機として、市等の文化財指定に向けた弾みになるものと思われる。