関東の土木遺産 関東の土木遺産
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神奈川県三浦市三崎町
あぶらつぼけんちょうじょうきゅうたてや
油壺験潮場旧建屋
H30年度認定(2018)
1.名 称:
あぶらつぼけんちょうじょうきゅうたてや
油壺験潮場旧建屋
2.完成年次:
1894(明治27)明治24年に千葉県に設置された高神験潮場を、明治27年に油壺へ移設
3.形式等:
構造:煉瓦造平屋
規模:床面積 7.36㎡、H=3.809m、L=2.430m、W=3.030m
屋根:桟瓦葺き切妻
外壁:焼過ぎ煉瓦イギリス積み(一枚半)
基礎:石造布基礎
付属施設:量水標石柱、附属水準点 附2
4.設計者等:
設計:陸地測量手 柳瀬信誠
施工:不詳(施工監督は柳瀬信誠)
5.推薦理由:

三浦市にある「油壺験潮場旧建屋」は、明治24年に陸地測量部が全国6か所に設置した験潮場の一つを明治27年に現地に移設したもので、現存する験潮場としては細島験潮場※についで2番目に古い。

油壺験潮場は、日本の標高の基準である「日本水準原点」と密接な関係がある。明治24年に設置された日本水準原点の標高(原点数値)は、当初隅田川河口の霊岸島での潮位観測から決定されたが、その後、油壺験潮場での潮位観測と、油壺・日本水準原点間の水準測量によって原点数値の点検が行われるようになった。大正12年の関東地震では大きな地殻変動が発生し原点数値が変更されたが、その際に油壺験潮場のデータが活用されている。平成6年12月、隣にコンクリート製の新施設が設置され、平成9年1月から油壺での潮位観測は新建屋に移行した。

これらのことから、我が国の初期の測量技術を今に伝え、「標高の基準」の管理に重要な役割を果たした施設であり、主な測量の教科書には必ず記載があるなど親しまれているため、土木遺産に認定し、後世までその功績を伝えたい。

なお、現存最古の験潮場は、明治25年に建設、翌26年8月に再建された細島験潮場(宮崎県)で、平成26年度の選奨土木遺産に認定されている。また、神奈川県には、明治期の三角測量で「長さの基準」となった選奨土木遺産「相模野基線」(平成22年度認定)がある。

6.所在地:
神奈川県三浦市三崎町
7.管理者:
国土交通省 国土地理院 測地観測センター
8.特記事項:
管理者と調整済み、推薦者 三浦市
9.PR方法:
記者発表、H.Pでの紹介、土木の日に認定式等イベントを行う予定
10.連絡先:
国土交通省 国土地理院 測地観測センター 地殻監視課 海岸昇降監視係
〒305-0811 茨木県つくば市北郷1 TEL 0298-64-4819

図1 案内図(全体)

図2 案内図(詳細)

写真1 油壺湾に面した験潮場(平成6年 右側に新建屋が完成する。)

写真2 古いレンガ造りの建屋

写真3 旧量水標石柱

写真4 油壺(旧)験潮場

写真5 油壺(旧)験潮場

写真6 油壺(旧)験潮場

写真7 油壺(旧)験潮場
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