関東の土木遺産 関東の土木遺産
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神奈川県
じょうがしまおおはし
城ヶ島大橋
R5年度認定(2023)
1.名 称:
じょうがしまおおはし
城ヶ島大橋
2.完成年次:
1960(昭和35)年
3.諸元・形式等:
橋長 575m 幅員 11m
構造 中央径間 三径間連続鋼床版箱桁橋(70m+95m+70m)
   側径間 PC 単純桁ポストテンション式
  (39m×7連、30.97m×1連、24.07m×1連)
4.設計者等:
設計者:神奈川県土木部
施工者:上部工(箱桁)(株)横河橋梁製作所、上部工(PC)
(株)オリエンタルコンクリート、下部工 (株)清水建設
5.推薦理由:
 三浦半島の南端に位置する三崎と城ヶ島を結ぶ海橋である城ヶ島大橋は、三崎漁港の経済的発展及び観光など地域活性化のための輸送施設として1957(昭和32)年に建設が始まり、1960(昭和35)年に完成した。
 城ヶ島大橋は、漁港を出入りする大型漁船の安全な航行を確保するため支間の長い橋である必要があり、中央径間95mを有する三径間連続鋼床版箱桁橋が架設された。これは、わが国初の本格的な長大径間鋼床版箱桁橋であるとともに、当時その規模は東洋一と称された。
 中央主径間の箱桁は橋脚上の5mの桁高は弧を描いて桁中央で2.5mと絞られ繊細な線を強調して、観光的な要素の強い架設地点に適した外観となっている.鋼床版箱桁は戦後ドイツにおいて機能的な橋梁形式として開発が進められたものであり、鋼重の大幅な軽量化によって高い経済性を実現した。海峡部に架かる橋として日本初である西海橋に続く橋であり、また日本の近代橋では初めて赤系統の色で塗装された。
 神奈川県は設計にあたり、主径間のコンクリート橋の可能性について吉田徳次郎を中心とした会議を開催し、形式選定の検討に加えた。一般設計の鋼橋18案,PC橋1案の比較検討の結果、工費や製作、架設の実現性の観点で鋼床版箱桁橋形式と決定し、福田武雄ら学識者の指導を受けて城ヶ島大橋設計示方書を作成し、競争設計に付した。その結果6案が提出され、桁下端に曲線を挿入し美観的優れていること、1箱桁形式の採用が経済的であること等を踏まえて採用設計案が決定された。中央主径間の架設にはカンチレバーエレクション工法が採用され、製作の精度の確保、架設時の温度の影響など多くの課題について,実物大模型による載荷試験を行うなど慎重な検討が行われた。完成後には福田武雄や久保慶三郎ら学識者を含む城ヶ島大橋応力測定委員会を組織し、載荷試験や振動試験を行って設計理論の正確さを証明するとともに、応力計算や応力測定結果が報告書に取りまとめられた。設計計算書や応力測定報告書は出版もされ、その後の橋梁技術発展に大きく寄与することとなった。
 これらのことから、わが国橋梁技術の発展の礎となった重要施設であり、漁港基盤としての役割を果たす一方、神奈川の景勝50選でもある周囲の景観と調和する優美な姿の城ヶ島大橋は、観光など地域の活性化の一躍も担っているため、土木遺産として認定し、その功績を後世に伝えたい。
6.所在地:
神奈川県三浦市
7.管理者:
神奈川県東部漁港事務所
8.特記事項:
管理者と調整済み。
9.PR方法:
大規模な補修工事の終了に合わせて、記者発表、「みうら市民まつり」内での認定式等のPRを予定
10.連絡先:
神奈川県三浦市都市環境部都市計画課
238-0298 三浦市城山町1−1 tel:046-881-1111
 城ヶ島大橋 資料
 諸元:

 橋長575m、幅員11m
 中央主径間
  三径間連続鋼床版箱桁橋
  (70m+95m+70m)
 側径間
  PC単純桁ポストテンション式
  39m×7連
  30.97m×1連
  24.07m×1連


城ヶ島大橋

城ヶ島大橋応力測定委員会による応力測定
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