JSCE
土木学会

教育企画・人材育成委員会「土木と学校教育会議」検討小委員会

「土木と学校教育会議」検討小委員会の設立について


趣旨

 この度改訂された教育基本法では,「公共の精神」「環境の保全」「伝統と文化の尊重」等が初等中等教育の基本目標として具体的に掲げられている。こうした基本目標を達成するための主要テーマの一つとして,河川や交通,都市・地域や防災に関わる土木における種々の営みを挙げることができる.土木は,例えば公共のために各種事業を成すものであるという点に着目すれば公共の精神の涵養に繋がり得るものであり,河川やみち,町並み等が長い歴史の中で整えられてきたという点に着目すれば「伝統と文化の尊重」に繋がり得る.そして「環境の保存」については,そのための各種の河川や環境保全のための諸事業がその題材として考えられるところである.さらには,現実の構造物を取り扱う土木工学は,生活感ある形での理科教育にも援用できる可能性も考えられる.これらの点から土木が学校教育に直接・間接に貢献しうる可能性は大きい.
 一方,社会資本整備が遅れていた時代は、整備によって自分の生活や企業活動が安全、便利、快適になることを実感できたが、今の若い世代は整備された状態が普通であり、社会資本整備による恩恵を実感することが難しい時代になっている。さらに社会資本の計画、建設、維持、活用が「土木」の仕事であることを知らない国民も増加している。このような社会資本整備の恩恵を実感しずらい社会環境において、社会資本整備の意義を意識するためには、日常的なコミュニケーション活動が重要であることは論を俟たない。そして、その中でも初等中等教育等の学校教育は大きな重要性を持つものと考えられる。ところが、初等中等教育の社会科の教科書で取り扱われる社会資本に関する部分は近年減少傾向にあり、新しい学習指導要領による教科書ではさらに少なくなる可能性も考えられる。
 ところで現在、土木学会では教育企画・人材育成委員会や各支部において出前講座、現場見学会などの活動を通じて社会教育や学校教育との連携や支援を行っているものの、上記の様な背景を踏まえつつ,初等中等教育の諸問題について総合的に検討していく体制が明確化されているとは言い難い。それ故,土木学会としても学会活動の様々な場面で、初等中等教育分野との連携を推進し、交流や実施事例の増加を図るとともに、教育分野の各場面に対応する体制を整備していくことが必要とされているものと考えられる。こうした認識に基づき、初等中等教育の分野における教育プログラムの開発及び調査研究をはじめとして,最終的には学習指導要領や教科書の改訂に資する有益な情報を発信・提供することを目指し、文部科学省・教育委員会等の教育関係機関との連携を推進していく「土木と学校教育会議」検討小委員会を設置する。

活動

 活動にあたっては、土木学会の社会コミュニケーション委員会、調査研究委員会等の関連する委員会と連携し,以下のような具体的活動を推進する。
  1. 初等中等教育関係者との連携、情報交換の場としての「土木と学校教育会議」の設置運営
  2. 初等中等教育に関する学習指導要領や教科書改訂にともなう情報提供や働きかけ
  3. 初等中等教育における学習指導要領に沿った、社会資本整備をテーマとした教育プログラムの開発、実践。(例えば交通、環境、災害、バリアフリー、公共、理科など)
  4. 指定校による継続的な教育プログラムの開発と実践、評価
  5. 海外の教科書研究

小委員会委員予定者(順不同)

役職氏名勤務先名称
委員長藤井 聡京都大学大学院
幹事長高橋 勝美計量計画研究所
委員兼幹事池田 豊人国土交通省
委員兼幹事緒方 英樹(財)全国建設研修センター
委員兼幹事岡村 美好山梨大学大学院
委員兼幹事唐木 清志筑波大学大学院
委員兼幹事工藤 文三国立教育政策研究所
委員兼幹事谷口 綾子筑波大学大学院
委員兼幹事原 文宏(社)北海道開発技術センター
委員兼幹事日比野 直彦政策研究大学院大学
委員兼幹事堀畑 仁宏東京書籍(株)
委員兼幹事松村 暢彦大阪大学大学院
※以上に加え,学校教育関係者等を構成員とする.
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