会長特別委員会「地球温暖化対策特別委員会」趣意書
1.土木と地球温暖化対策・・・土木が貢献できること
地球温暖化問題の深刻さはIPCC第4次報告もあって世界の認識となりつつあり、さらに我が国においても環境省の地球温暖化影響・適応研究委員会の発表では、日本の平均気温上昇は最大で4.7℃に達し、あらゆる分野での対応が必要であるとされている。
土木技術者は地球温暖化の原因となる行為と多くの解決手段の提供に深く関わっているが、このことが必ずしも広く社会に認識されているとは言い難い。本年は洞爺湖において環境問題が大きなテーマとされるG8洞爺湖サミット開催(7/7〜9)の年にもあたり、土木技術者の地球温暖化対策への貢献に関して認識を広めるとともにその深化を図る必要がある。
主な課題は以下のとおりである。
- 緩和策(Green House Gas(GHG):「温室効果ガス」)発生制御、Mitigation)
- エネルギー供給方法改善:水力・原子力発電、小規模発電等、
- CO2削減(建設関連分野は全産業の2〜3割):混雑緩和・交通システム改善、建設事業実施中のCO2削減、設計の改善、リサイクル、3R運動等
- 炭素固定: 環境保全(海域保全など)、緑化促進(灌漑など)、木材活用、深海・地下水への固定等
- ソフト対策:カーボンオフセット、LCC、LCA、総合アセットマネジメント(コスト+総CO2排出量)、(国内)排出権取引、CDM(Clean Development Mechanism)、公共調達への反映(CO2削減量を評価)等
- 国際協力:国際機関等のプロジェクトとの協力等
- 適応策(Adaptation)
- 海面上昇対策
・海岸防災対策、海岸・港湾施設の改築、河川堤防強化及び関連施設整備、土地利用変更等
- 異常気象・気候の変化への対策
・水害対策、渇水対策等
- その他
・都市環境整備(温暖化防止対策)、国際協力(水没危険国、氷河消滅、永久凍土融解等)
2.土木学会の地球温暖化対策への取り組み
- 学会の機能である(1)学術・技術発展に貢献し(2)技術者の資質向上を図る視点から、地球温暖化対策に関する研究開発とその成果の普及によって社会に貢献することを目指す。
このため、地球温暖化対策に関しても、(1)学会全体としての活動方針の立案、(2)情報収集と学会内外への提供、(3)研究の実施と研究発表の場の提供、(4)問題解決に貢献する施策の提言を行う必要がある。
- 具体化のため19年度会長特別委員会を設置し、以下の活動を提唱、支援し実施する。
- 宣言書(新アジェンダ21(仮称))発表
- シンポジューム・講演会
- 現時点での最新知見のまとめと学会誌等での公表
- 一般向け、土木関係温暖化防止技術紹介 パンフ
- 地球温暖化対策にかかわる各委員会研究活動の充実等
- 委員会の設置(別図参照)
- 会長特別委員会として「地球温暖化対策特別委員会(以下委員会)」を設置し、学会の政策の取りまとめ(注:理事会へ提案して決定)、緩和策と適応策の調整と取りまとめ、上記短期的行事を主催して学会内外への発信を行う。
- 委員会のもとに、「地球温暖化影響小委員会」、「緩和策小委員会」及び「適応策小委員会」ならびに「アドバイザリー会議」を設置。
- 活動期間は19年度会長任期とし、以降は時限の特別委員会に引き継ぐこととする。
- スケジュール案
- 委員会準備、発足(第1回会合、4月)
- 学会誌7月号特集
- 地球温暖化影響小委員会報告
- シンポジューム(6月頃に東京、ADB行事等への参画)
- 各小委員会中間報告−9月全国大会研究討論会を兼ねる(9月10日頃)
- 新アジェンダ21発表(年末)
- 最終報告書兼学会誌特集号又は別冊(09年春)
(図 会長特別委員会の構成)