塔を建てる
工場製作の様子
基礎ができると、次に橋を建てます。工場で鋼鉄製のブロックをつくり、現場でクレーンを使って積み重ね。ボルトでつないでいきます。
塔が少しでも傾いていると橋全体に影響するので、傾かないように厳しく管理し、300メートルの高さで傾きは約6センチメートル以内におさめています。また台風の時に塔が揺れないように、揺れをおさえる装置をつけています。
塔の架設
ケーブルを渡す
塔ができるとケーブルを渡す作業に入ります。最初にケーブルを渡すために使う足場(キャットウォーク)をかけ、その足場を使ってケーブルを渡す作業を行います。ケーブルは、太さ約5ミリのピアノ線を工場で127本束ねたもの(ケーブルストランド)を現地で順番に張り渡して、それを290本束ねたものでできており、その太さは直径約1.1メートルです。ケーブル作業が終わると、橋桁をつくるためのハンガーロープをケーブルに架けます。
この図はケーブル工事の色々な段階を同時に示しています。
最初にヘリコプターを使って細いワイヤーを張ります。これを頼りにして足場をつくり、ケーブルを架けます。
昼間に張り渡したケーブルストランドは、温度が一定となる夜間に長さなどの調整作業を行います。
桁を架ける
主塔やアンカレイジの近くの橋桁は、クレーン線を使って大きなブロックを一気に架けます。これを作業基地として、工場でつくられた部品を面状のブロックに組み立てて現地に運び、クレーンを使ってハンガーロープに吊していきます。この作業をくりかえして橋桁を延ばしていき、平成8年9月に全ての桁がつながりました。橋桁を架け終えると、アスファルト舗装や維持管理用の設備などを取り付けて吊橋ができます。
チェーンケーブル
錬鉄に変わって鋼のワイヤーが初めて採用されたブルックリン吊橋は、最初の近代吊橋と言われています。これ以前の吊橋では、錬鉄のチェーンがケーブル材として使われていました。
AS工法
今日の吊橋のケーブルは、何万本ものワイヤーを平行して束ねてつくられており、基本的にはブルックリン吊橋の方法と同じです。ケーブルの架設方法は、大きく分けて2種類あります。一つはブルックリン吊橋以来、最も一般的に使われてきたAS(エア・スピニング)と呼ばれる工法です。スピニング・ホイールでワイヤーを引き出しながら、両岸のアンカレイジ間を往復させてケーブルをだんだん太くしていく方法です。日本では、下津井瀬戸大橋で採用されました。
PS工法
これに対して、日本で一般的に使われてきたのがPS(プレファブ・ストランド)と呼ばれる工法です。これは、工場であらかじめ数十本から数百本のワイヤーを束ねてストランドをつくり、このストランドを現地で引き出してケーブルを張る方法です。ケーブル施工の一部を工場で行うことによって現地での工事の期間を短くすることができます。日本では、関門橋から因島大橋、大鳴門橋、南・北備讃瀬戸大橋、大島大橋、そして明石海峡大橋でもこの方法が採用されました。