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実行委員長挨拶

土木学会平成23年度全国大会を迎えて
「今一度、土木の原点に ~誇れる日本、住みよいまちへ~」

川﨑正彦 川﨑 正彦
KAWASAKI Masahiko
全国大会実行委員長
国土交通省 四国地方整備局長

 平成23年度土木学会全国大会を、9月7日(水)から9日(金)までの3日間、愛媛大学城北キャンパスを主会場として開催させていただくこととなりました。
  四国での開催は、平成15年以来8年ぶりとなりますが、学会最大の行事である全国大会をこの地で開催することは、四国の社会資本整備を担う四国地方整備局といたしましても非常に喜ばしく光栄に存じているところであります。
 さて、3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」は、マグニチュード9.0という過去最大級の規模で発生しました。強烈な地震動は各地に大規模な被害をもたらし、これにともなって発生した大津波は、東北地方の沿岸部を壊滅的な被害に陥れました。また、福島第一原子力発電所の事故も発生し、未だに多くの方々が避難を余儀なくされるなど心痛むところであります。一日も早い被災地の復旧・復興を、心からお祈り申し上げます。
 今回の東日本大震災は、これまで整備されてきた社会資本に対し、多くの注目を集めるきっかけとなりました。発災直後のマスコミ報道では、砕け散った防潮堤や、津波に桁ごともっていかれた橋梁、ずたずたにされた海岸堤防などの映像が頻繁に流され、これらに対して全く役に立たなかったのではないかというような否定的な論調が幅を利かせていました。しかし、果たして本当にそうなのでしょうか。確かに全てを施設整備によって防ぎきれるものではありませんが、釜石港の津波防波堤や仙台湾沿いの海岸堤防が、津波来襲速度や到達範囲の縮小に大きく寄与したことや、仙台東部道路の盛土が津波の遡上を押しとどめたことなど、結果的に施設自体が地域の方々の貴重な命や財産を守ることにつながることとなったのも事実であります。我々土木技術者の使命は、今回の震災の特性や施設の機能を詳細に検証し、土木の原点に立ち返って、大規模な自然災害へ立ち向かうための社会資本整備を改めて計画的に進めていくことにあるのではないでしょうか。
このような観点から、大会の2日目である9月8日(木)には、特別行事として「東日本大震災シンポジウム」を企画することといたしました。このシンポジウムでは、土木学会会長と、最前線で災害対応の采配をとられた東北地方整備局長に特別講演をいただき、大学等の研究機関、行政、建設業界等からなるパネリストによって、今後想定される巨大災害に対しての土木技術者の行動のあり方をディスカッションすることとしています。
 今大会のテーマは「今一度、土木の原点に~誇れる日本、住みよいまちへ~」です。
土木技術者にとって、今後の国土整備における最大の使命は安全・安心の確保にあると考えます。また併せて、少子・高齢化や地球規模での環境問題への対応など、複雑多様化する社会・経済に的確に応えることも求められています。大会では、研究討論会や100周年記念事業を通じて、これまでの土木(Civil Engineering)の歩みを振り返るとともに、その原点とも言える「自然と社会への貢献」に立ち返り、豊かさを実感できる社会づくりに向けて、どのように土木技術者は貢献すべきかを十分に考えていきたいと考えております。
 開催地である松山市は、伊予の国の藩主加藤嘉明が築いた松山城の城下町であり、人口約52万人を数える四国第一の中核都市です。日本最古の湯として有名な道後温泉を市内に擁し、「坂の上の雲」の秋山好古・真之兄弟や、俳人正岡子規、種田山頭火、文豪夏目漱石ゆかりの地としても有名です。
多くの土木技術者がこの歴史ある松山の地に集い、大いなる技術交流をもって本大会が成功することを祈念いたしましてご挨拶といたします。

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