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土木はこれまで、国土の保全と拡大、そして産業と生活基盤の整備に大きな貢献をしてきた。しかし日本社会の成熟と人口減少期への転換を迎え、国民の価値観は物的な拡大や充足から、自然との共生や心の豊かさ、人々との絆へと移りつつある。特に5年前の東日本大震災と原発事故は、人間と自然の関係や技術のあり方に大きな疑問を投げかけた。人口増加に追いつくための量的な拡大から、風土を生かした豊かさを実感できる地域づくりへの土木技術の転換のために、既存の価値観に囚われない自由な視点、新しい発想が求められる。
この討論会では、各地域で活躍している新進気鋭の研究者に、新しい技術の活用例や先進的な取り組みの紹介をしていただき、豊かで元気な地域づくりへの土木の貢献の方向性を議論したい。
1962年京都市生まれ。京都大学工学部卒業後、同大学院工学研究科修了。京都大学工学部助手、講師、広島大学工学部助教授を経て、2006年から東北大学東北アジア研究センター教授。2012年から同大学に新設された災害科学国際研究所で人間・社会対応研究部門被災地支援研究分野を担当し、東北アジア研究センター、大学院工学研究科土木工学専攻を兼務。統計モデル、最適化を活用し、都市間交通計画や低密度地域の交通、資源政策、災害対応に関する研究に従事している。
1976年愛媛県生まれ。1998年九州大学工学部建設都市工学科卒業、2000年同大学院修士課程修了。2000年4月より同大学院工学研究院建設デザイン部門助手、2007年3月博士(工学)の学位を取得。2010年10月より同部門(現 社会基盤部門)准教授、現在に至る。専門はコンクリート工学。コンクリート分野におけるリサイクルや構造物の耐久性に関する研究に従事。最近は、(一社)九州橋梁・構造工学研究会(KABSE)「ツタワルドボク研究分科会」のメンバーとして土木の魅力をアピールする活動にも力を入れている。
1970年生まれ。博士(工学)。1994年京都大学工学部土木工学科卒業。1996年京都大学工学部助手、2003年から一年間カリフォルニア大学バークレー校に留学後、2006年京都大学 防災研究所准教授を経て2014年より現職。専門は土木耐震工学。2010年より日本学術会議若手アカデミーの創設に従事し、2014年より日本 学術会議連携会員。専門における研究に加え、社会と土木との新しい接点を模索すべく、2010年より「どぼくカフェ」を立ち上げ、2014年土木 学会創立100周年記念事業「どぼくカフェ」へと展開。
北海道大学土木工学科卒業、同大大学院都市環境工学専攻博士後期課程修了(2003)。建設コンサルタント、日本学術振興会特別研究員(PD、東京工業大学)、筑波大学講師、カールスタッド大学客員研究員等を経て、2013年より現職。専門は都市交通計画、態度・行動変容研究、リスク・コミュニケーション等。モビリティ・マネジメント入門(共著、学芸出版社、2008)にて交通図書賞受賞。国土交通省交通政策審議会環境部会、運輸審議会運輸安全マネジメント部会等の専門委員を歴任。現在は心理学の知見を活かし、健康になれる交通まちづくり、コミュニケーション活性化と交通安全等に取り組む。
1975年10月兵庫県生まれ。1998年3月に東京大学工学部土木工学科を卒業後、同大学院修士課程、博士課程を修了。博士(工学)(2003年)。その後同大学院工学系研究科にて、研究員、助手、講師を経て、2010年11月より現職。研究課題は河川生物の生息場評価、河川地形の形成過程解明、河川流域の地域特性解明、など。河川およびその流域環境に関わる様々な課題を扱っており、近年は中山間地の集落が抱える問題にも取り組んでいる。現地調査とその考察を重視しており、日本の一級河川はすべて源流近くから河口まで自家用車で視察している。
1999年中央大学大学院理工学研究科修了。建設コンサルタント、中央大学理工学部助手、和歌山工業高等専門学校准教授を経て、2010年高知大学教育研究部自然科学系准教授、2014年同教授、2015年高知大学総合研究センター防災部門長、2016年2月より現職。専門は地盤工学、地盤耐震工学。四国南海トラフ地震対策戦略会議、国土交通省四国地方整備局災害に強いまちづくり検討会、高知港における地震津波防護の対策検討会議、高知県南海トラフ地震対策推進本部アドバイザー、高知県燃料タンク対策協議会アドバイザー、高知県地震・津波防災技術検討会などの委員を務める。
2016年06月11日更新
2016年05月11日公開