土木の語源
「土木」という言葉の語源となったのが『淮南子(えなんじ)』という本であります。紀元前2世紀頃の本だと思いますが、その13巻にこんなことが書いてあります。ここに記載されている『築土構木』という言葉、これを明治時代の先人が詰めて「土木」として、われわれのグループの名前にされたわけです。(土木学会・新土木図書館会館記念式典 前 丹保憲仁会長 記念講演より抜粋)
参考文献:楠山春樹『淮南子(中)』明治書院
『淮南子(えなんじ)』:前漢の初め頃、淮(わい)南(なん)王劉安(りゅうあん)が、紀元前百五十年頃に書いた書物
土木の日
「土木の日」および「くらしと土木の週間」の提唱
人類は長い歴史の中で英知と技術を結集して、水を治め、道を拓いて産業活動と国民生活に必要な社会の基盤を整えてまいりました。そして文化を育み、文明を築きあげてきたのであります。
我が国におきましても、国民各位のたゆまざる努力により、戦後の灰燼の中から驚異的な復興をなしとげました。現在では、世界屈指の経済的豊かさを持つに至っていますが、道路、上下水道、住宅、公園、街づくりなど、社会資本の整備、蓄積につきましては、欧米先進国に比べ格段に立遅れているのが実情であります。
これは我が国の置かれた歴史的・地理的条件や社会的背景などによるところが大きいと思われますが、社会資本の重要性に対する国民の理解と認識が私ども土木界に身を置く者を含めて、必ずしも十分でなかったことも否めないところであります。
50年後、100年後に向けて、国民生活におけるアメニティーの向上、安全の確保、文化・福祉の促進に努力するとともに、豊かで、質の高い国土および生活空間づくりの推進が、私どもに課せられた重要な使命であると考えます。 この使命を果たしていくためには、関係者の努力はもとより、国民各層におかれても、土木との触れ合いを通じて、土木技術および土木事業に対する認識とご理解を深めていただき、社会資本整備の意義と重要性について幅広いコンセンサスを形成していくことが不可欠であると存じます。
これを具体的に進める第一歩として、土木学会は関係諸官庁および諸団体の御支援を得て、 11月18日を「土木の日」と定め、続く本会の創立記念日である11月24日までの一週間を「くらしと土木の週間」として、この趣旨にふさわしい各種イベントを含めた特色ある活動を展開していくことにしております。
社会資本の整備という国民的課題を、国民の皆様と共に考えていく意義ある運動として、今後とも内容を充実させながら、全国的に活動を強化して、その高揚を図って参りたいと考えておりますので、関係各位の絶大なるご支援・ご協力をお願い申し上げる次第であります。 (1987年11月「土木の日」制定に当たっての土木学会の提唱内容)
注:土木の2文字を分解すると十一と十八になりますので、11月18日を「土木の日」とし、土木学会創立記念日である11月24日までを
「くらしと土木の週間」といたしました。