膳棚水路橋は、大正10(1921)年に東京電力鰍フ前身である塩那電気鰍ノより黒川発電所の導水路水路橋として建設されました。導水路は延長約5.1kmで大部分がトンネルですが、那須町稲沢の区間は平地部のため、地上から約4.5mの位置に水路橋を設けています。この膳棚水路橋はRCラーメン構造で、大正期におけるRCラーメンは希少であり、かつ大正期における同構造形式の発電用水路橋はわが国では唯一のものと思われます。また、3本橋脚にX字型に筋交いの入ったRC橋脚も極めて特殊な構造であり、技術性および意匠性にも優れています。X字型筋交いの入った3本のRC橋脚と水路側壁を支える三角バットレス群が長さ100.6mにわたって連続する景観は圧巻で、造形美に富んでいます。
なお、施工は三井住友建設鰍フ前身である勝呂組が担当しました。平成10年8月26日の台風4号による未曾有の豪雨により、黒川発電所の2つの取水設備は壊滅的被害を受けましたが、この水路橋は磐石でした。今も、悠久の時を刻むかのように、静かに水音を奏でています。
|