■初代の素掘り隧道:通称「明治トンネル」 |
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栃木県佐野市と足利市とを結ぶ一般県道飛駒足利線の須花坂に、3本の隧道が並んで位置している。初代隧道は地元の有志らが寄付金を募り明治14年に着工し、竣工まで8年の歳月を要したが、最後まで残ったのは田島茂平ただ一人であった。工事は人力だけで行われ、内部にはその痕跡が残っている
二代目隧道は、大正6年に栃木県が煉瓦巻隧道として築造した。側壁はイギリス積・アーチ部は長手積で組成されており、組成文様を彩るグラデーションは積み重ねられた歳月の長さを物語っている。また、昭和54年にRC造の現道が竣工し、初代・二代目の隧道は現在使用されていない。
これらの隧道は、明治・大正・昭和とそれぞれ時代を隔てて築造されたものであり、隧道の構造仕様の流れを知る上で貴重である。初代の隧道は、地域開発に身を投じた先人の偉業を後世に伝えるなど地域史学習の教材として貴重であり、二代目隧道は、栃木県の道路用隧道としては現存する唯一の煉瓦隧道である。地元では、初代および二代目隧道を地域づくりに活用したいという機運もあり、今回の選奨土木遺産の認定は、その大きな弾みになると思われる。
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■二代目の煉瓦隧道:通称「大正トンネル」 |
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所在地: |
栃木県佐野市、足利市 |
竣工年: |
【初代】明治22年
【二代目】大正6年
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構造形式等: |
【初 代】素掘り117m
【二代目】煉瓦造(側壁:イギリス積み、アーチ部:長手積み)、石ポータル(地元産御影石)、81.9m
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受賞理由: |
素掘り・煉瓦造・RC造と構造の異なる3本の隧道が並存し希少性に富み、且つ地域開発への先人の熱い思いを今に伝えている。 |
管理者: |
【初 代】地権者
【二代目】栃木県足利土木事務所
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