■汐止橋 |
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1.施設の概要
汐止橋は、鋸南町道の本郷元名線、元名川に架かる石積み上路アーチ橋である。延長13.4m、幅員3.7mで1895年(明治28年)に架設された。鋸南町に架かる他の石造橋の延長が10m以下であるのに対し、汐止橋は一径間でありながら、13.4mと最も長い。
アーチリングは四重に積まれており、スパンドレル部は布積みである。普通、石橋の多い九州地方やその他の地域の石橋をみても、布積みの場合、石は水面に対して平行に積まれている。しかし、この汐止橋は、布積みでありながら各切石がアーチリングにむかって斜めに積まれているのが特徴的である。切石の大きさは比較的小さく、煉瓦のような形に揃えられている。その積み方も長手と小口を組み合せて積まれており、煉瓦でいうフランス積みのように積まれている。さらにアーチリング部の石も通常立方体に近い形のものが使われるのに対し、この橋では直方体のような横長の石が用いられている。これらは、非常に特徴的であり、技術的にも意匠的にも高いレベルであるものと考える。
使用されている石は、千葉県鋸南町保田産の保田石であると推測される。保田石は、鋸山から採れる石で積石、地覆石等に用いられたと思われる。
[千葉県の産業・交通遺跡 千葉県教育委員会(平成10年12月)より] |
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2.施設の諸元 |
所在地: |
千葉県安房郡鋸南町 (町道1-102号線) |
完成年: |
明治28年 |
構造形式: |
石積み上路アーチ橋
(保田産の保田石を使用)
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受賞理由: |
アーチを形成する切石の積み方や形状が非常に特徴的で技術・意匠の面も高いレベルである。
また使用されている石が、地元産の保田石と推測されるなど地域性に優れている。
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管理者: |
鋸南町 |
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