古くから湘南地域の観光地である「江ノ島」「鎌倉」に至る江ノ島電鉄は1902(明治35年)藤沢〜江ノ島間が開通し、1910(明治43年)に終点小町まで全線が開通。
「極楽洞」は極楽寺駅〜長谷駅間にある江ノ島電鉄唯一のトンネルで、1907年の完成、開通以来大きな改造はなく、電気鉄道のトンネルとして当時の煉瓦造りが残されているのは全国的に稀である。
「龍口寺前交差点」は第一期開通区間の藤沢〜江ノ島駅から鎌倉に向かう際、併用軌道区間として国道134号(旧道)の線形に合わせたため、日本の普通鉄道としては最小であるR=28mのSカーブで敷設された。このため、江ノ島電鉄の車両は長さ12.5m、連接車構造などオリジナルな構造とならざるを得ず、昔のどこか懐かし電車の風景が今も残る要因となっている。
その他にも、関東の駅100選にも選ばれている「極楽寺駅」「鎌倉高校前駅」などユニークな駅があり、開通以来の鉄道線形もほぼそのままで残り(現在、ほぼ当時のままの路線で営業しているものとしては日本で最古)、変化の激しい首都圏の都市において、明治期の日本における鉄道の黎明期の雰囲気を今に伝え、見事に人と車と鉄道が共存する都市型軌道システムを構築する鉄道施設と言える。