佐渡鉱山は、江戸時代に幕府直轄領となってから本格的な鉱山として開発がすすめられ、明治から大正、昭和初期にかけて機械化・近代化を推し進め、その隆盛を極めた。明治中期、鉱山の近代化を推し進めるため、生産品の搬出だけでなく、生産に必要な物資、溶鉱炉や発電所等の燃料に用いる石炭の搬入用として大間港が築港された。
大間港は、服部長七による人造石(たたき)工法が採用されている。この人造石工法はその後明治30年代に全国的に使用され、コンクリート工法が普及・定着するまでの工法として、護岸はじめ水路・堰堤・水門等の大規模土木構造物に広く応用された。
今回、選奨土木遺産に推薦する施設は、人造石護岸、台座、RC橋脚、鋼トラスの土木構造物であり、これらは土木学会がまとめた“現存する重要な土木構造物2800選”のAランクである。これらの施設・構造物は、佐渡鉱山の役割と機能を下支えしたものであり、当時の土木技術を広く社会に伝える貴重な土木遺産である。
さらに、現在、佐渡鉱山は世界遺産登録を進めており、今回の選奨土木遺産の認定によりその後押しをすることができるとともに、また、世界遺産登録後は、わが国の当時の土木技術を世界的にアピールできる場ともなる。