○玉川橋は、埼玉県第1号の鉄筋コンクリートアーチ橋で、約1世紀を経て現役である。
- ・明治初期の史料に玉川橋の名称があり、旧橋は木造のアーチ橋であった。
- ・躯体および両橋台は完成当時のものであり、高欄は後年に改装された。
○高欄は、建設時に平鋼や角鋼を用いた単純な構造であった。交通量の増加とともにガードレールに代わり、その後RC施工で半円の空間を組み合わせた構造となった。
半円形の空間をもつ高欄は、下部のアーチ曲線と整合させるデザインであるが、不自然さがなく玉川橋として一体化している。
○都幾川の清流に架かる上路橋で景観がよく、保存が望まれている。
- ・平成15年(2003)、玉川橋の下流に県道のバイパスが開通し、同橋の通過交通量が減少した。
○玉川橋は旧村の中心に位置し、小川町・東松山市・坂戸市などと県道が結ぶ交通の要衝にある。
- ・旧玉川村は明治期に和紙、大正期に養蚕や織物の生産で繁栄した。同橋はこれらの産業の流通に、多大なる貢献を果たした。
○都幾川沿岸は、「ときがわ水辺の道」や広場が整備されている。玉川橋は案内板に、「絵になりそうなポイント」の一つとして記されている。
- ・ときがわ町は、山と渓流に恵まれた環境を売り物として、人を呼ぶ行政を進めている。玉川橋は貴重な歴史をもつ建造物であり、土木遺産として当地に寄与してもらいたい。
○玉川橋の架橋に関わる資料は、県立文書館に保管されている。