■土木学会誌2008年2月号モニター回答
■ 表紙
数は多くないものの美しくメッセージのわかりやすい写真、そして短いながら具体性に富んだ文章。大変楽しいページである。ここを入口として、我々読者が「土木史」に深く踏み込めれば、よりおもしろい展開があるのだろう。筆者の方が、記事をまとめる際の参考文献や紹介したweb等を付記していただければ、一層ありがたい。
(所属:東日本高速道路 氏名:三石 晃)
■ PHOTO REPORT (1) 「かぐや(SELENE)」月へ!―アポロ計画以来最大の月探査プロジェクト―
「月面都市」構想という夢のある話題であり、とても面白い特集でした。たまには現実を離れ宇宙へと夢をはせるのも結構なものだと感じました。ただし今月の学会誌のトップ(今月は巻頭言がないので正にPHOTO REPORT 1がトップ記事である)を飾るのがJAXAの「かぐや」プロジェクトということには違和感があります。この場所には土木のプロジェクトがふさわしいのではないでしょうか。
(所属:清水建設 氏名:小林 伸司)
■ PHOTO REPORT (2) マルマライ・プロジェクト―ボスポラス海峡横断地下鉄整備計画―
イスタンブールのような歴史的な都市において、日本の最先端の技術が投入されているこんなにも大規模なプロジェクトがあると知り、驚きです。そして、それが歴史解明にも貢献しているとは、本当に魅力的です。
(所属:東急電鉄(株) 氏名:山田久美 )
■ この人に聞く 宇宙飛行士 毛利 衛さんに伺いました [聞き手]柄谷友香
新たな挑戦の中に人類の持続可能性があるという言葉に強く感銘を受けた。私にとって宇宙への挑戦というものは、人類の飽くなきロマンへの挑戦であったり、フロンティア精神の象徴であろうという漠然とした認識しか無かった。宇宙は人類の持続性を賭けて挑戦する場という視点は私にとって驚くべきものであった。宇宙への挑戦というキーワードを通じて、人類全体の幸福への夢を語る毛利氏の姿勢は短い文章の中でも非常に共感できるものがあり、少しでも思いを汲み取れればと思う。
(所属:東京大学 氏名:入谷和範)
■ 特 集 「月面都市」構想
今月は,「月面都市」構想という夢ある特集で,座談会では「月面という違う環境でものをつくる」という技術的にもたいへん面白いテーマでした。地球との環境の違いや月の地震,空気がないことの問題点等を知ることができました。地盤の構造など未知な部分については,今後明らかになると思いますが,ぜひ,宇宙開発の分野でもプロジェクトを実現させ,再びこのような特集記事を読めることを楽しみにしています。
(所属:東京電力株式会社 井上 章)
当社のHPでも「かぐや応援」のリンクを貼って支援している、日本が世界に誇るビッグプロジェクトである。宇宙と土木をつなぐ夢のある記事を、大々的なカラー写真とイラストで最初にもってきた構成は新鮮である。その後に続く特集記事では、弊社の同じ本部の研究員が編集企画担当及び協力をさせて頂いているが、自分も10年前に月の砂レゴリスを利用した蓄熱発電構想(ガラスの海構想)に参画したこともあり、未だ月面都市プロジェクトが続いていることがとても感慨深かった。世代を超えて夢を実現する数少ないプロジェクトである。
(所属:三菱総合研究所 氏名:落合孝正)
私が生まれる前にはすでに人類の月面着陸が実現していた。だから幼い頃に思い描いていた未来は、2000年にもなれば宇宙ぐらいはそこそこ気軽に行けるようになっていると思っていた。現実には宇宙はあいかわらず遠い存在だが、記事を読んでいると久々にワクワクしてきた。今後もこういう記事を時々は期待したい。
(所属:前田建設工業 氏名:陳 友真)
まずこうした企画が土木学会誌の特集に取り上げられていることに驚きました。土木というと一般的にはまだダーティなイメージがあるようにも感じられますが、月に都市を作るという、子供の頃に誰もが見た夢の実現に土木が果たす役割は大変大きいということを再認識できました。こういう夢のある企画をこれからももっと取り上げていただき多くの若い方たちにも読んでもらいたいと思いました。若い土木技術者の方がこうした分野へチャレンジするきっかけにもなるいい企画だと思いました。
(所属:鹿島建設株式会社 氏名:岩瀬秀子)
■ 1.宇宙開発の歩みとこれから ―月探査の歴史― 羽生哲也
子供の頃から宇宙には憧れがあり、日本人が宇宙へ、といった特番には常に興味を引かれていた。しかし、その頃宇宙プロジェクトは常にアメリカか旧ソ連のものであり、日本を含めた他国ではまだまだ無理な話なんだろうと自分勝手に思い込んでいたことを思い出す。そんな中、日本は純国産ロケットの打ち上げ成功を皮切りに数々の宇宙計画を成功させ、昨年、アポロ計画以来最大といわれる月面探査プロジェクトを立ち上げた。現在も順調な探査を遂行しており、我が国の技術が数段進歩したことを示す。今後も中国やインドといった国々が同様のプロジェクトを計画しており、飛躍的な宇宙の謎解明が期待される。
幼い頃夢だった月面での生活や宇宙旅行、未知の生物の解明などもそう遠くない話なのかもしれない。そして、宇宙から地球を見つめ直すことで、環境問題、人々の争いなどが改善し、より良い地球になることを願ってやまない。
(所属:株式会社豊和開発 氏名:冨田 直人)
■ 2. 座談会「月面都市2050」構想[座談会メンバー]的川泰宣、松本信二、建山和由、金森洋史
土木業界で明るい話が少ない中、夢のある話題とはいえ「ちょっと背伸びし過ぎ?」と、やや眉唾な気持ちで読み始めた事を先に白状します。しかし、期待は良い意味で大きく裏切られる展開でした。40年後の月面開発を目標に掲げてはいますが、そこで必要となる技術は、今地球上で直面している問題そのものであることが判りました。限られた空間の中で、環境を守りつつ生産活動を行うためには、徹底した省エネルギーとリサイクルが必須であること。今はまだ「宇宙船地球号」の中での練習期間ですが、技術を積み未来の宇宙へ持ち出して本格稼働すると考えると、夢が現実的に見えてきました。
(所属:川田工業 氏名:畠中 真一)
人類が月を目指す意義は?という質問に対する答えは人それぞれ異なるのでしょうが、私がこの質問に答えるのなら、月には人類の夢があるからと答えると思います。1969年に人類が初めて月面着陸に成功した後から、月に関する研究あるいは構想が挙げられてきました。その中で特に「月面都市」を作るという構想には非常に驚いています。月に都市をつくるなんてまるで夢のようだなと。しかし、記事を読んでいくうちに、座談会に参加されている4名の方々が月面都市に対する自身の思いを語っており、まるで自身の夢を語っているように感じました。「月面都市」という人類の夢を実現させるため、これからも自身の夢を膨らませていただきたいと思いました。
(所属:東京大学大学院 氏名:真田 圭太郎)
月面都市計画に対して土木技術における実現可能性を考えるというアプローチは非常に興味深い。月面都市開発において必要不可欠となる省エネ技術のブレークスルーや循環型社会のための技術をスピンオフし、地球に逆輸入するという意欲的な考えには学ぶべきことが多い。一方で月面が真空であるが故の問題など阻害要因については問題提起に留まり、活発な議論が見えてこなかったのがやや残念である。
アポロ計画以来の人類の悲願が達成する日が訪れることを心待ちにしている。
(所属:東京大学 氏名:入谷和範)
■ 3. 月を開拓するための法制度 ―現状とこれから 青木節子
人類が初めて月に到達してからかなりの時間が経つ.その後,月へ降りた人類が居ないことから,実は月に行っていないのではないかと言った話も有り,月に関してはかなり面白い話が多く好奇心がそそられる.実際に,月に人類が進出したらどうなるのだろうか?かなり興味を持って記事を拝見した.現在は月に人が住んでいないので,まだ本気では考えて居ないため,国際的な法律でも曖昧な事が分かった.しかし,今後,より月が身近になった時に,領土問題として浮上してくることは明らかだろう.おそらく一番乗りした国が領有権を主張するではないかと愚考している,その国がどこかは分からないが(歴史的は繰り返す).そうならない為にも,前もってルールを定めておいた方が良いと強く感じた.
(所属:港湾空港技術研究所 氏名:渡辺 一也)
古代より人々を魅了してきた美しい月の上で,近い将来,基地や都市が整備されることに大きな夢と期待を抱く一方,法制度が未整備な状況のもとで各国の自由開発により「餅をつくウサギ」が破壊されてしまうことのないようにしてほしいと思います.平和的かつ持続的な開発を誘導する法制度が,国際的な議論のもとで早急に整備されることを望みます.
(所属:京都大学 氏名:大庭哲治)
■ ミニ特集 アジアとヨーロッパをつなぐボスポラス海峡横断鉄道トンネルプロジェクト
海外のビッグプロジェクトに従事している日本の技術者の方々が,苦労されながらも大変ご活躍されている様子が伝わってきました。特に,ビジネススタイルの違う中で仕事を進めることは,言葉の壁以上の大変な障害なのだろうと想像しています。日本のビジネススタイルは海外では通用しないとしながらも,一方で日本のビジネススタイルの素晴らしい部分を海外の仕事の中で感じとり,世界のビジネススタイルを変えていけたらいいという意見があり,共感を覚えました。
(所属:前田建設工業株式会社 氏名:松林 卓)
座談会では海外プロジェクトにおける仕事内容や様々な問題について具体的に知ることができました。今後も海外における設計施工案件が増えるとすれば、日本の設計基準の国際化は急務であるし、それに対する土木学会の責務は大きいと思います。海外現場に従事している方々の生の声はなかなか聞く機会が少ないので、取材は大変かと思いますが今後もこのような特集を組んでいただければと思います。
(所属:大成建設 氏名:岡嶋和義)
座談会を読んで、技術的にも相当難プロジェクトだと感じました。日本であっても相当難工事であろう本工事を文化やコミュニケーションの違いの中、進められている技術者の皆さんのご苦労は計り知れないと感じました。大深度での沈埋トンネルの敷設、民家の直下を掘削する16kmのシールドトンネル・・・。日本ではなかなか考えられない難条件の国際プロジェクトを誇りを持って対応されている技術者の皆さんに心からの敬意を表したいと思いました。残念だったのは、せっかくの現地取材なのに、写真が少ないこと。ページ数の制限などで難しかったのだろうとは思いますが、現場のスケールの伝わる写真をもっと大使いにするなど工夫があればもっとよい誌面になったのではないかと思いました。
(所属:鹿島建設株式会社 氏名:岩瀬秀子)
■ 学生記事 土木ではたらく 第一回「施工管理」という仕事 [取材]川崎文義
学生から「土木」という言葉の人気が低下し、業界に対する理解が薄れている昨今において、最前線の若手技術者にスポットを当てて、業務の内容を紹介するこの様な記事は非常に意義があると感じます。都市部の鉄道工事では、ここで紹介されている以上に神経を使う大変な作業が多いと思いますが、工事が進む満足感も、児玉氏が最後のコメントで伝えている以上に大きいと思います。今後も、様々な工事について、様々な立場の技術者の視点から、良い事も悪い事もリアルに伝えていただけるよう期待致します。
(所属:(株)大林組 氏名:齋藤 隆)
都市部での土木工事は制約が多く、とりわけ鉄道や道路は、その交通機能を保ちつつ工事を進めなければいけない厳しい環境のもとで仕事を行うことになる。時間や空間の厳しい条件をクリアするために緻密な計画がものをいう「段取り八分」の世界である。複雑なシステムであるゆえに関係者との調整も多いが、みんなで知恵を絞り、技術を駆使して課題を解決し現場を動かす醍醐味は、土木の世界の原風景でもあると感じる。よい社会基盤を築くにはよい信頼関係を築くことが第一歩とのコメントには共感しました。
(所属:JR東日本 氏名:森山 泰明)
「施工管理」という仕事について若手土木技術者が現場で何を考え、何をするかという事が具体的に説明されており、非常にわかり易い内容だと思う。また、現場の写真を多く掲載する事によって、現場のイメージが良く伝わりました。
(所属:大林組 氏名:池田 悠介)
土木技術者が携わる仕事については、非常に幅広く、職種も多岐にわたっています。記事に記載の施工管理もあれば、企画、設計、関係者協議等、プロジェクトを推進するにあたって様々な役割分担があります。また、同じ施工管理の中でも、鉄道工事のような都市土木もあれば、ダム、河川、道路等、多様な現場があります。特に、若手技術者の新鮮な視点で業務を紹介する本記事は、分かりやすく好感がもてました。私も鉄道事業に携わる者の一人ですが、鉄道工事は時間との闘いであり、安全を最優先に確保しながら、精度の高い施工技術が求められます。日々の安定した鉄道輸送は、鉄道工事に携わる多くの皆様によって支えられていることを心強く感じました。
(所属:東京急行電鉄(株) 氏名:岩本 敏彦 )
土木分野に係る職業の仕事内容には以前より関心がありましたので,今回の新連載の記事は非常に興味深く読ませて頂きました.仕事内容のみならず,職場風景,タイムスケジュール,紹介された技術者の想いなども紹介されており,土木分野への就職を希望する学生にとっても,大変参考になるのではないでしょうか.
(所属:京都大学 氏名:大庭哲治)
土木を学んでいる学生にとっても、一般の人々と同じように、実際に「土木ではたらく」ことの具体的なイメージは沸きにくく、特に現場の仮囲いのなかで何が行われているのか、そこで土木技術者は何をしているのかはあまり知られていないと思います。この記事では、豊富な写真による仕事の説明に加え若手技術者の生の声が記載されていて、これから土木技術者を目指す学生にとって非常に参考になることでしょう。記事からは施工管理の苦労とやりがいが伝わってきました。敢えて挙げると、彼がどういう立場で仕事を行っているのかが分かり辛いので、発注者・JV(上司)・協力会社との相関図のなかで彼の位置を示せば理解の助けになると思います。
(所属:清水建設 氏名:小林 伸司)
記事の最後のページにに印象的な写真がある。ホームに入ってくる始発列車の写真だ。このような光景が存在するには、それを支える人間がいるということ。普段当たり前のように誰でも享受しているサービスの基にある仕事が、まさに土木だろう。特に鉄道のように昼間は普通にできないインフラに対する仕事を詳しく知る人も少ない。そのような仕事を第1回の記事に掲載したことは土木の仕事のあり方を示す意味でも重要なのかもしれない。多くの学生も目を通すであろう学会誌で若手技術者を通して実務を照会する企画記事は非常に大切だと思う。
(所属:国土交通省河川局 氏名:早川潤)
世間一般の土木業界のイメージはかなり悪いほうだと思うが、その中でも施工現場の職場イメージは最低の部類に入るのではないだろうか。都市部の現場で測量していたら近くを通りかかった親子連れの、『ちゃんと勉強しないと大きくなってああなるのよ』という会話が聞こえて落ち込んだという話を同僚からもよく聞く。現場で働くことの悪い面ばかりがクローズアップされがちだが、人の役にたっているという良い面についても業界としてもっとアピールして欲しい。
(所属:前田建設工業 氏名:陳 友真)
■ 学生記事 世界へと飛び立つために東京国際学生会議 Tokyo International Student Summit 21(TISS) 山口由美子、坂上聡史
技術者の分野に限らず、グローバル化が進む現代社会において世界的な視野に立ってリーダーシップが取れる人間はますます必要性を増している。そのためには誰かに強制されるのではなく、若い世代が自らの思いで立ち上がることが何よりも重要であろう。今回紹介された東京国際会議のように、学生の自発的な行動に対して大学が支援を行うことは非常に望ましい形であり、大学と学生の連携が密に図られたということは実に意義深いものであると言える。また、国際的なネットワーキングを構築することは、将来的に世界を変える原動力になりうると感じている。「今」何が出来るかだけでなく、「将来」何が出来るのかといった視点で今後の展開に大いに期待すると共に、自分自身の在り方をもう一度振り返ってみたい。
(所属:東京大学 氏名:入谷和範)
■ 事故・災害 2007年9月12日インドネシア南スマトラ地震とその津波による災害調査速報 アイダンオメル、今村文彦、鈴木智治
2004年のスマトラ以降,津波に対する関心が高まっている.しかし,その一方で人間は忘れていく生き物である.今回の調査結果では,強い地震動の後に迅速な避難が行われ,津波による被害者はゼロであったとの事であった.過去の教訓が生かされた,非常に良い結果である.しかし,この記事でも触れているが,このような高い意識を継続することは難しい.そのためにも,より良い方法についての研究を行っていくことが重要であると感じた.
(所属:港湾空港技術研究所 氏名:渡辺 一也)
■ 事故・災害 米国土木学会ハリケーン・カトリーナ外部審査委員会の提言から学ぶこと 服部敦
早速、国総研のホームページから報告書を取り寄せた。オイルプラントからの流出、ポンプ施設の無力化、気象予報発表の表現など、問題点がいくつも指摘されている。中でも、Iウォールの破堤により、今後の設計に重大な教訓を残したことが良く判った。災害が起こり原因を突き止めてしまえば、破堤の発生機構は極めて分かり易い理屈であった。しかし、その重要性に事前に気づくことの難しさを感じた。
(所属:川田工業 氏名:畠中 真一)
和約版公開は我が国にとって大変意義のあることと思う。特に原子力施設立地地域のこのような外的事象に関するリスク評価等の参考情報になろう。原子力分野では、リスク情報を活用した国の安全規制導入が進められているが、土木分野でも今後リスクベースの防災概念や安全設計が検討されるものと思う。
(所属:三菱総合研究所 氏名:落合孝正)
■ CE リポート 話題 月面の地盤力学 ―月面地盤工学の創成と月探査技術への展開― 小林泰三、落合英俊
低重力状態での地盤力学なんて今まで考えたことが有りませんでした。月面上では地球上とは違った支持力理論の確立が必要になるとのことですが、今後の研究の成果が非常に楽しみです。定期的な特集を是非お願いします。
(所属:前田建設 氏名:林 克彦)
■ CE リポート 話題 透明な公共事業受注者選定方法についての一つの試案 中村英夫
公共工事の受注者決定は長い間談合と云う名の不透明な中行われて来ました。その形態が崩れて早2年が経過したわけですが、建設業界は生みの苦しみ?の中でもだえ苦しんでいる状況が続いています。それでもひところのような極端な安値受注は無くなって来たようですが、依然として最低価格での熾烈な受注競争が繰り返されています。その一つの対策として総合評価方式が国、都道府県の大型工事では採用されるようになって来ました。今回中村学長が提案されている選定方式は価格以外の技術評価方法に関する提案で非常に明快なものと思います。特に専門委員会の人選とそのメンバー公表のタイミングにまで言及されている点が重要なポイントと感じました。公共工事が透明性が高い環境下でしかも適正価格で行われることを切に祈っています。
(所属:前田建設 氏名:林 克彦)
■ CE リポート 話題 大村・まちかど研究室の活動 ―中心市街地活性化の「漢方薬」として― 後藤惠之輔、今岡芳子、児島正興、松本長康
地域活性化はその地域の経済を支える上で非常に重要なことです。そのため、まちかど研究室の存在意義は大きいと思います。大村市で発祥したこのような研究室が、日本の各都市に普及することで日本全体がさらに活性化されることを願っています。
(所属:東京大学大学院 氏名:真田 圭太郎)
私の住む町にもかつては住む人の生活を支えていた商店街がある。しかし、大型店の参入や高齢化、景気の変動などにあおられ、今は閑散としており、かつての華やかさはない。過去に何例かは復興の取り組みはあったようだが、画期的な策ではなかったようである。
古くからの町にはなんとも言えない心地よい雰囲気がある。人と人が触れ合う温かな空間、素直な子供達、地元で知られた頑固オヤジ・・・。小さくまとまった町だからこそその町を守ろうと皆の連帯感が強かった上、非行犯罪も今ほど多くなかった気がする。このような温かな環境こそ現代社会に必要不可欠なものではないだろうか。機能集約の都市開発が進む中、このような昔からある古き良き機能を今一度見直す必要があると思う。
(所属:株式会社 豊和開発 氏名:冨田 直人)
■ 制度が変わる、土木が変わる 第9回 地理空間情報活用推進基本法 下大薗浩
地理情報システムの普及や活用を促進するためには、基盤となるデータの公開・共有がもっとも重要な要素の1つであると言われている。この法律の施行を契機にどの程度共有化の進展が期待されるかについて、言及されているとより分かりやすいと感じた。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:窪田 崇斗)
■ 行動する技術者たち 第17回 地域テーマで世界も牽引―世界に発信する日本の寒冷地工学―佐伯浩氏(北海道大学総長) 原文宏
寒冷地工学は世界的にメジャーな問題であるのに対し、我が国ではある限られた地域におけるローカルな問題であると認識されているとの記述がありました。寒冷地工学が地域性に強く依存しているため、日本では北海道など限られた地域に限定された分野のように捉えられていると思いました。これまでの自分の経験を振り返ってみても、確かに寒冷地における問題は雪などに対して厄介者としての意識があるくらいで、工学的知識に乏しいことに気付かされました。現在、寒冷地工学は克雪・克寒から利雪・親雪へと発展し始めていると指摘されていますが、同時にこの分野には技術開発の余地が多く存在することも示唆していると思われます。寒冷地工学の開発・発展は、我が国の国際競争力を強化する上で着目すべき分野のひとつであると感じました。
(所属:東亜建設工業 氏名:上田陽彦)
寒冷地工学は、日本ではローカル、世界ではメジャー、ということに興味を持ち読み進んだ。サハリン沖の油田開発にも寒冷地工学が重要な役割を果たしたようで、今後の日本のエネルギー政策上、マイナーからメジャーな工学分野の一つになるのではないかと感じた。記事に対する個人的な希望としては、氷力とはどういう荷重で現状どのように算定されているのか、簡単な模式図でよいのでイメージを示していただけたら、寒冷地工学の具体的な一端を感じられたのではないかと思った。
(氏名:笠原宏紹)
サロマ湖では流氷の移動により湖底地盤が掘削されホタテ貝養殖に毎年被害が出ていたとのことですが、この記事を見て1984年に襟裳岬に流氷が来たことを思い出しました。丁度当時北海道で高速道路工事をしていた関係で珍しい流氷の到来を見に行きました。確かこの件についてはNHKプロジェクトXでも取り上げられたので記憶している人も多いかと思います。こちらの流氷は漂砂のため危機的状態にあった昆布漁が流氷によって海底が削られたために岩盤が露出し昆布漁が奇跡的に復活したと云う内容だった記憶しています。日本の寒冷地工学が高い評価を受けているとのことですが、是非日本の寒冷地工学の特集もお願いしたいものです。
(所属:前田建設 氏名:林 克彦)
その技術の地域性から「地域における技術者養成が重要」との指摘である。その一方で、このような技術の内容とその展開を、機会ある毎に広く知らしめていくことは、技術者養成を少しでも効果的に進めることになると思う。今回の記事に「今まで知らなかったけど、おもしろそう」と関心を持つ読者はいるはずである。 今後の技術者紹介にも、益々期待する。
(所属:東日本高速道路(株) 氏名:三石 晃)
■ 見どころ土木遺産 網走港帽子岩ケーソンドック 大野元
網走港の修築工事の一環としてケーソンドックとコンクリート製造分場まで作るという、国内インフラが整っていなかった時代の土木技術者のスケールの大きさに驚いた。また、網走港の修築工事に用いられた後も、改良されながら現在も供用されて近隣の漁港工事など地域に貢献しているとのことで、昔の土木技術者の先見性にも感じ入った。記事に対する個人的な希望としては、当時で建設費がどのくらいかかったのか触れていただければ、と思ったことと、紙面の都合で無理であったのかもしれないが、網走港の港湾計画図を載せていただければ、北防波堤と帽子岩ケーソンドックの港の中での位置関係がわかり、理解がより深まると思った。
(氏名:笠原宏紹)
■ 土木学会デザイン賞 第11回 鮎の瀬大橋/小浜地区低水水制群/イナコスの橋/綾の照葉大吊橋/鹿児島本港の歴史的防波堤
この連載は昨年4月号から始まっているようです。本棚から学会誌を取り出し,篠原修先生の「連載にあたって」を再読いたしました。その中で,「この紹介作品に接することを通じて社会的使命を持つ土木という専門が誇りを取り戻し,やればできるのだという勇気をもってもらいたい」という文章がありました。今月号を見たところ,5件全てが九州の構造物であり,九州に居る者として胸の張れるページでした。年度末で多忙感が増す中,やる気・元気が少し回復しました。
(所属:九州大学 氏名:佐川康貴)
■ モリナガ・ヨウのぶらっとぉ土木現場 幌富バイパス(北海道・幌延町〜豊富町)モリナガヨウ、溝渕利明
見ていて楽しく、そして、細かすぎないのにわかりやすい描写。かつて仕事でたずさわった類似の現場(まさの「道路工事」です)の様子が、頭の中でしっかり再現される。しかしながら、当方にとってこのコーナーの魅力は、「絵」以上に「文」なのである。業務で一般の方に接する機会は多く、その都度、「説明内容を理解していただけるか?」と心配になる。現場見学の児童・生徒、お問い合わせをされるお客さま、投稿文をお読みになる社外の方々・・・。業界の「文法」につかる毎日にあって、この心配を払拭してくれるのは家族しかいなかった。そんな中、モリナガさんの「文」は、家族以上に信頼のおける「土木ビギナー」からのメッセージである。
(所属:東日本高速道路(株) 氏名:三石 晃)
森を伐採して道ができていく様子についてイラストでよく理解できましたが、伐採した根っこや枝、草などをそのあとどうされているのか、環境問題が騒がれる中そうしたことに関する記述が少しあればもっとよかったかと思いました。あと、これはタイムラグのある印刷物なので仕方がないのかもしれませんが2月号で稚内の現場を取り上げるなら、冬景色のほうがより季節感があってよかったかなと思いました。
(所属:鹿島建設株式会社 氏名:岩瀬秀子)
■ わたしの本棚 私たちは本当に自然が好きか [評者]福井恒明
昨今、多くの場面で環境問題が取り上げられ、そのなかでも緑化といった言葉は良く耳にしますが、この紹介文を読んでどきっとしました。 人間の価値観の変化、自然との付き合い方など改めて考えさせてくれる気がします。
(所属: 東急電鉄(株) 氏名:山田久美)
人間側の価値観が人間中心、しかも短期的な損得を極端に重視するように変化してきたことが、「自然好き」でなくなってしまった原因であるという本の著者の意見に共感します。特に日本各地で見られる「都市化」が、まさに人間側の価値観が変化したことを象徴しているのではないでしょうか。「都市化」が人間にもたらす利益も大きく、多くの人々が都市化から利益を受けてきたのは確かですが、地球環境保全あるいは景観保全のために、この本を一読して都市化を見直すのもよいのではないかと思います。
(所属:東京大学大学院 氏名:真田 圭太郎)
■ 土木学会の動き 委員会報告中学校の授業で土木技術映像「崩れ」を上映 松下芳亮
私の父も土木屋だった。しかし、私の父が土木屋だったことを知ったのは、私が大学で土木を専攻した後だった。それまで私は父の仕事をよく知らなかったし、父もあまり話さなかった。思えば、小さい時から、土木に関する行事や建造物に行ったり、土木の製図道具などをもらったりしており、土木という仕事の素晴らしさを知らず知らずのうちに体感していたのだと思う。そういった意味で、中学生の授業の中で、土木技術映像を流すという試みは非常に大切だと思う。子供達にとっては、決められた義務教育の中では習わない貴重な体験である。自ら土木に接することは少ないはずなので、このような体験を通じて、無意識のうちに土木に興味を持ってもらえれば土木の前途も明るい。
ただ、あまり土木土木しない方がよいと思う。今回のアンケートでは土木という言葉を強調しているが、色々な体験により結果的に文明のインフラ作りの素晴らしさ=土木を感じてくれる方が打ち解けやすいのではないかと感じた。
(所属:NEXCO総研 氏名:舩橋修)
■ その他
<〔学会への意見〕P100 情報の4で発表された新示方書の講習会概要について> HPに「詳細は2月号に掲載」とあったので、すぐに申し込もうと真っ先に開いてみたところ、その参加費の高さに驚きました。どの企業においても大勢で参加できる額ではありませんし、学生には一月分の家賃に近く、自費参加は不可能な額では?と思いました。良い示方書が完成し、意義のある講習会が開かれる事には疑いを持ちませんが、学会運営の感覚が、会員の意向から離れ、尊大に構えている印象が強く、学会の将来に危惧の念を抱きます。追加で構いませんので、本の購入を強制しない講習会の開催を行うなど、柔軟な対応をされることを希望致します。
(所属:(株)大林組 氏名:齋藤 隆)
■ 学会誌全般・編集委員会へのご意見・要望
今回も各記事が非常に面白かったです。次号も期待しています。
(所属:東京大学大学院 氏名:真田 圭太郎)
政治家や官庁の方々の論説またはインタビュー記事を増やして欲しいです。
(所属:大成建設 氏名:岡嶋和義)
© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会