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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2009年3月号モニター回答


■ 表紙

先日、我が国の総理大臣とオバマ大統領が会談、世界の新しいリ−ダ−と最初の外国首脳会談と云われましたが、麻生首相はなんとも軽くあしらわれたように見えてしまいました。会談会場に飾られていたのは、まさしく、03学会誌の表紙となった中国の文化遺産『頤和園の17孔橋』でした。アメリカは日本と中国の区別も付かなかったのでしょうか? せめて日本の文化遺産を飾ることが儀礼かと。それとも、国民に選ばれた新リ−ダ−が、政治状況の不安定な国のリ−ダ−に対してのものだったのでしょうか。日本も真のリ−ダ−と共に、国造りに情熱を注げるような施策を期待するとともに国の将来を描くのは私達(若者も含めて)です。
(所属:(株)てすとぴあ 氏名:坂本 和雄)

■ 巻頭言 土木技術者の社会的責任を果たすとき 山本 正明

高度成長期を経験した世代として、インフラ整備は新しいものを作ると言う意味で、大きな楽しみ、誇り、喜び、を感じていた。しかしそこに疑問もあった。それは古い構造物の横に新しい構造物を作ったとき、古いものはレンガ造り、基礎は木杭、新しいものはコンクリート作り、基礎杭はベノト。また阪神淡路大震災で、古い三宮、元町の高架橋に被害が少なかったのに、新しい新幹線や道路構造物に大きな被害が出た。ここでインフラ維持管理の意味をしっかりと位置づけ、耐用年数の過ぎた古い構造物の見直しや、新しい構造物に関しても、設計技術の進歩に安住することなく、再検討する必要性があると思う。これは建築の世界でも言えることではなかろうか。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤 真幸)

今回の巻頭言は、日本のインフラにおける現状の大きな課題と私達土木技術者が果たすべき役割を明確にかつ端的に伝えていると感じます。「社会の逆風に逆らっても必要な提言」との言葉がとても印象的で、その必要な提言を、今後は一歩踏み込んで「どこ(誰)に対して」「どの段階で」が非常に重要になってくるのではないでしょうか。
(所属:(株)大林組 氏名:中村泰)

■ 会長からのメッセージ 第4回 土木の魅力的な定義を考えよう 栢原 英郎

大学生だった頃,土木工学科を志望し,春休み後に登校して見たら,講座の名前が社会基盤工学科になっていたことを思い出す.当時,同級生たちで,どちらが良いか話題になったことがある.「土木」は泥臭いから,「社会基盤」になって良かったという学生もいれば,「土木」の方がストレートでわかりやすいという学生もいた.最近では,名前を聞いただけでは何をやっているのかわからないような,長い学科名も増えてきている.巻頭言の「土木技術者の社会的責任」や,どぼく自由題の「土木の原罪」と読み合わせて,冠はともかく,先達の築き上げた「土木」を保持し,充実させて,「社会基盤」をより良く発展させることが私たちの使命であると,改めて認識させられた.
(所属:東洋建設株式会社 氏名:小竹康夫)

土木構造物は、利便性を得ている施設や類を見ない施設に対して魅力を持つことはあっても、土木構造物は出来てしまえばあって当たり前のように感じるものであり、我々の周りに存在している多くの土木構造物に対しては無関心の方が多いと思います。このような状況で、また魅力の基準は人それぞれの中で、人の心を夢中にさせる「魅力的な土木」を考えること大変だと思います。まずは魅力を持って仕事をしている土木技術者が、自分自身、土木の何が魅力なのかを考え、これから土木を学ぼうとする人、小学生から社会人まで土木構造物の中で社会生活を営む多くの人々との対話を通じて、人それぞれの魅力の基準と照らし合わせて考えることが大切だと思いました。
(所属:中電技術コンサルタント(株) 氏名:北出圭介)

■ PHOTO REPORT 白河と南会津を結ぶ大動脈 近藤 淳

開通おめでとう、34年の歳月をかけて開通にこぎつけた甲子道路、地元出身の私にとって小さなころから心待ちしていた道路です。橋梁工事では施工ミスで架設をやりなおしたり、特殊土砂の処理が報告されたり身近な土木工事として興味をもっていました。国際的な経済対策や海外への援助に多額の予算が使かわれているにも関わらず、肝心の国内国道(生活道路)の整備にこれだけの年月をかける政治・官僚に不信を持ちます。3Kと云われた工事現場の印象は未だ改善されず、若者は土木に希望をもてないのでしょう。この分野に投資される予算は確実に縮小し続けていますが、少子化・高齢化対策等と合わせて、社会資本の整備・維持管理は日本の将来にとって絶対必要な施策であると思います。若者がこの業界に希望をもって、積極的に戻る時代に思いを馳せます。
(所属:(株)てすとぴあ 氏名:坂本 和雄)

■ PHOTO REPORT 「2008年度土木学会デザイン賞」決定! 星野 裕司

土木構造物デザインの重要性は論を待たないところであるが、文中でも触れられている様にトータルデザインと言う意味では非常に難しい問題をはらんでいると思う。例えば市街化調整区域の見直しにより、私権がらみから乱開発となり、トータルデザインとしては台無しになってしまう例が多いこと、また大阪市御堂筋の高さ制限の見直しも、その一端を示しているように思われる。これは土木のみで対処できる問題ではない。今、土木がリーダーシップを取り、 関係分野をまとめ、トータルデザインの意味を確立する時期に来ているのではなかろうか。海外を旅し、都市のバランスの美しさに接したときそれを痛感する。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤 真幸)

土木に限らず、デザインに優劣を決めるのは難しいと思う。というのも、デザインほど評価する人の好みに左右されるものはない、と考えるからだ。学会誌に掲載の4箇所の事例は確かに洗練されたデザインであり、心地よい風景として成立していると個人的には思う。一方、そういうのを好まない人がいないとも限らない。今回の評価基準は、風景およびその成立背景がベースとなっていると思うが、そこに立った人がどう感じるかという視点に立てば、視覚的な風景だけでなくサウンドスケープ(音風景)、気温や湿度、風といった気象要素、人の五感すべてにおいて評価の考慮に入れるべきかもしれない。
(所属:西日本高速道路(株) 氏名:西川悟史)

自分が景観を学んでいることもあり、土木学会デザイン賞は毎年チェックしています。今年の最優秀賞には岐阜県の学びの森と富山LRTが選ばれていましたが、私は特に新設された奨励賞に注目しました。webサイトに掲載された奨励賞の講評を見ると、実に率直な批評がなされており、対象とする構造物や場所に対して、どのようなものが求められているかをより明確に知ることができました。奨励賞が加えられたことにより、土木デザインの方向性がよりはっきりすることと思います。
(所属:京都大学大学院 氏名:木村優介)

■ PHOTO REPORT 自然豊かな沖縄本島北部、「やんばる」に建設中の大保ダムが完成間近 板屋 英治

沖縄にも最新のELCM工法によってダム建設が進められている。島嶼部の水問題は,人ごとではない。堤高66mの巨大ロックフィルダムを脇役に抱えた大きなダムである。沖縄県の貯水事情,ため池管理の実情は知らないが,このような大規模ダム事業が推進しにくい昨今では,既存不適格化した老朽ため池のローコスト改善手法の確立が期待されている。本ダムにおいても,メンテナンスを効率的に行うことができるような工夫や基礎地盤処理,漏水対策など,今後の実働に向けて大切な情報を土木学会全国大会,学会論文集等で積極的にご発表され,技術遺産として後継者に引き継がれていくように希望する。このような最先端の工事例といった生きた情報を共有しながら,現場での事故を防ぎ,瑕疵を回避する取り組みを行い,市民に分かり易く説明できるノウハウを蓄積することが,地域の末端で実務に携わっている技術者への糧となるだろう。
(所属:高松工業高等専門学校 氏名:向谷光彦)

■ この人に聞く 第52回 総合科学技術会議議員 奥村 直樹さんに伺いました [聞き手]安原 達

インタビューのように「脆弱な国土だからもっと対策を打つ必要があるという論理」には国民だけでなく土木に携わる人間の多くも違和感があるのではないかと感じています。 しかし、日本はバリエーションに富んだ豊かな国であり、それぞれの地域の特徴に合わせて課題を解決することが我が国の土木の重要な役割であるとのご意見には大変勇気づけられました。また、私は鉄道の技術者ですので、今後の土木の方向性として、鉄道を例にしたハードだけでなく総合的なシステムの構築の重要性は大変よく理解できました。しかしながら、このような土木に対する評価は国民だけでなく、土木の世界の中でもあまり考えられていないのではないでしょうか。未だにどれだけ大きな構造物を設計、施工したかが重要であり(特に企業の場合は大きな構造物は直接的な利益につながり、ソフトの経済的な評価が低いため)、ソフト面が評価されていないのが実情ではないかと感じています。土木が国民に評価され生き残っていくには、このような点を土木の世界の人間自身が変えていくことが必要であると考えさせられました。
(所属:大日コンサルタント 氏名:船場俊秀)

地元の方々に工事説明会を行う機会が多々ある。これまでの説明はどうだったか自問自答してみる。無味乾燥な、行政側からの一方的な押し付けで、こちらの意向を理解して頂くだけの説明ではなかったか。そうでなくても、最近は住民の方々の求める豊かさの内容が多様化しており、公共事業への協力・理解が得られにくくなっている。この意味でも、今後は「国民が納得するPR」に配慮していきたい。
(所属:富山県 氏名:山中久生)

1月号、2月号と土木業界のど真ん中にいる方のインタビュー記事で、我々土木技術者は、元気付けられた内容であったように感じます。しかし今回は、「土木」を高い立場で見ている方のインタビューで、苦言もあり、土木の現状を客観的に理解することができ勉強になりました。「脆弱な国土・・」の言葉は、良く耳にし、良く使う私達土木屋にとって、耳の痛い話ではありますが、一般的な視点がそうなのだ。とハッとさせられました。国民の目を更に意識しなければ、逆風のままだと気づかされたように思います。
(所属:(株)大林組 氏名:中村泰)

■ 企画趣旨 北野利一

2008年の総まとめを振り返り、“土木”は自然・社会に影響を与え、与えられ続けていることを再認識させられた。
(所属:西武建設(株) 氏名:三村 卓)

この特集は、経験の多寡を問わず土木技術者にも経営・企画・管理等に関わる会員にもそれぞれの立場・次元で、土木の各分野や各地域(支部)の動向を読み取って業界の過去を振り返り現在を知りより望ましい明日を構想するという趣意で、大変役に立つ好企画だったのではと評します。 この特集は、 内容がこぢんまりと纏められている割には内容が深く及んでおり、かつ気軽に読めるのが何より。 私の意見ですが、この特集は、土木界が社会的に不可欠で国民に密着した重要な分野であることを広く一般社会(国民)の方々にも若い学徒にもご理解いただく資料(広報・宣伝)ともなりうるのではないかと感じております。是非とも会員にとどまらず広く一般社会の方々にも気軽に読んでいただけるような活用方法(別刷りとか小冊子化等も一案)をご検討されたらいかがでしょうか。
(氏名:福冨幹男)

■ 2008年の社会の主な動き

そういえばこんな事もあったかなぁと読ませていただきました。1年前のことも忘れてしまうのは、私だけかもしれませんが…仕事の忙しさに頭の中を過ぎ去っていく出来事。無茶ばかり言う上司を見て「自分はこうならないぞ」と誓う忘年会。インフラ整備が維持管理の時代に入ったと言われる今、過去を振り返り、人々が何をしてきたのかを再確認する重要性を感じてしまいました。
(所属:岐阜新聞 氏名:後藤亜由子)

■ 支部だより

コンクリートカヌー大会の報告を見て、過去この大会に出たことを思い出しました。ある日の授業中に先生から「コンクリートカヌー大会に出たいもの手を挙げろ」と言われ手を挙げた数人で参加したのを思い出しました。材料はもとより、カヌーの設計からスタートし、夏休みを返上して食堂でいろいろな計算をしたり、流体力学の先生にお話を伺ったりありとあらゆる手段を使いカヌーを製作したのを思い出します。出来たカヌーは思ったようには上手くできませんでしたが、コンクリート養生槽に浮かべた時には、みんなで喜んだものです。あいにく練習場所が無くて、ぶつけ本番で大会に臨みましたが、結果は準決勝敗退でした。しかし、この頃に苦労を供にした良い仲間をつくることができ、さらに、ものづくりの楽しさに触れることができたのが大きな収穫でした。今後もこのような素晴らしい取組みを続けていただきたいと思います。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石原 陽介)

■ 学生記事 第2回 クロスボーダー 土木とサッカー 関根 正之、杉江 裕実

サッカーもJリーグが開幕して,たちまち国民的スポーツになった。振り返ってみれば私がサッカーに出会った四半世紀前は,サッカーでは飯は喰えないと言われた時代である。その頃,ヤンマーの試合を見に長居競技場へ行ったが,その芝生へのあこがれと閑散としたスタジアムの印象が強い。現在,国策で運動場の芝生化プロジェクトが進んでいるように聞く。選手にとって芝生の上で蹴るボールの快感は,技術向上と世界基準という両方に通じる大切な記憶となる。天然の芝生化はメリットが多いプロジェクトではある一方で,公共施設としての公立学校の運動場を,公費負担のみで維持管理することは,すぐに限界に達してしまうのではないか。地域の学校は地域住民の公共財産であり,学びの共同体としての核となる施設である。PFIや地域ボランティア,NPOとの連携によって,持続的で最適な運営,管理手法へと昇華させることが求められるでしょう。
(所属:高松工業高等専門学校 氏名:向谷光彦)

コスト的な観点から、スタジアムなどでは人工芝を採用しているケースが多いようです。施設の運用面からみると、当然の結果ともいえます。一方、サッカー選手などの使用者の立場としては、天然芝がよいのでしょう。しかし、天然芝にするには難しい問題点があります。それでは、すべて人工芝にしてしまうのが良いのでしょうか?ときには、違った視点から見るという余裕が、今の日本にはないように感じております。
(氏名:平田 貴久美)

人工芝と天然芝の違いを詳しく知ることができてよかったです。プレーヤーとスタジアム建設、双方の立場にとっては、利点欠点に違いがありそうです。互いに妥協点を見つけつつ、進化していくといいですね。
(所属:岐阜新聞 氏名:後藤 亜由子)

サッカースタジアムに人工芝を使用すれば、地域住民も利用でき、なおかつ使用頻度も増やせるので「スタジアム周辺地域に根ざした都市計画」も変わってくる・・・確かにこのような視点もあるのかなと思った。しかし、本来のスタジアムの主目的は、選手がプレーしやすい環境を提供することではないか?土木との関係として「都市計画が変化する」という効果は副次的なものだということを念頭に置くべきではないだろうか。なお、人工芝に関する知識が豊富に記述されている点は十分評価できる内容だと思う。
(所属:富山県 氏名:山中久生)

連載当初から、土木とスポーツとの係わりを特に期待していたので非常に興味深く読ませていただきました。サッカーをこよなく愛する私にとりまして、文頭の「ワールドカップ」「サッカー」というキーワードが土木学会誌の記事になることは、とても新鮮でした。また土木とのかかわりを「人工芝」に関連づけ、そのメリットとデメリットを端的に分かりやすく説明していたので、分かりやすい内容で参考になりました。次号も期待しています。
(所属:(株)大林組 氏名:中村泰)

この記事を読んで、初めて人工芝の表面最高温度は70℃にも達することを知り驚きました。また、最高温度が70℃にも達するという欠点を、冷暖房効率を上げるための利点にするという発想の転換もすばらしいと思いました。人工芝に変更し、使用頻度を最大限に上げることでスタジアムを削減。スタジアムが削減されることは、悲しく感じる人も多いとは思いますが、コストは削減できますし、他の有意義な施設を作ることもできます。一方、全ての場で人工芝が採用されるのではなく、メンテナンス不要なところなどはできるだけ天然芝にしてほしいというのも願望です。天然芝は気温以上に温度が上がることはないし、少しではありますがCO2削減に繋がります。どちらが適しているのかトータルバランスを考えながら採用されていけば良いなと思います。今後の人工芝の動向に期待します。
(所属:住友大阪セメント(株) 氏名:松井 彩)

毎回楽しく読ませていただいております。今回は土木とサッカーということで土木とスポーツの繋がりについての記事でしたが、結びにプロが実際に使っているグラウンドで一般の方がプレーできるようになるかもしれないというこが書かれておりもしこれが実現すれば、プロと同じ環境のもとで多くの子供たちが練習ができると思い、日本のサッカーレベルが間違いなく向上すると思いました。土木で日本のサッカー界に貢献できるということは、想像もできなかったのでいちサッカー人として期待しております。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石原 陽介)

■ 博物館で土木を学ぶ 第3回 黒部川電気記念館 亀谷 一洋

トロッコ電車に揺られる旅は、紅葉時期がお勧めであります。黒部峡谷の雄大さもさることながら、「こんな秘境にどうやって構造物が建設されたのだろうか?」という思いが涌いてきます。建設に携わった人々の多大な苦労があったに相違ありません。まさに、そこはプロジェクトXの世界なのです。私たちの暮らしで欠かすことのできない電気は、土木技術者に支えられた結果であることを示しています。
(氏名:平田 貴久美)

■ 見どころ土木遺産 第56回 品井沼干拓関連施設 阿部 貴弘

同じような内陸での大規模干拓といえば京都の巨椋池が思い浮かぶが、どちらも古くから洪水に悩まされてきた地区である。比較考察してみようと思って品井沼と巨椋池の資料を集めるうちに、干拓こそ人間が自然に挑んだ原点であると思った。人間は、わざわざなぜ洪水のおきやすい場所に住み、耕作をし、自然を克服したがるのだろうか。川を付け替え、隧道を掘り、時々自然の逆鱗に触れながらも最終的に打ち勝っていく、このエネルギーはどこから来るのであろうか。干拓は、土木の原点であるがゆえに人と自然の調和点を求めた結果だと思う。近年の技術により、当時から見ればかなり無理のある計画も実現できるようになってきているが、果たしてそれは「人と自然の調和点」に落ち着いているだろうか。人間側の自己満足に陥っていたりしないだろうか。干拓という事業から、そんなことを考えた。缶コーヒーのCMに影響されたのだろうか。
(所属:西日本高速道路(株) 氏名:西川悟史)

江戸時代初頭から始まったという品井沼干拓の記事を、興味深く読んだ。実は、私は九州の出身で若いころ仙台で勉強をさせていただいたことも有り、私の地域開発の先生は、東北に多い。野蒜築港の失敗が、その後の東北開発の歴史に影を落としたという話は何度も聞かされた。しかし、品井沼干拓の歴史は初耳であった。このような、古くからの地域づくりの歴史は、例えば熊本の通潤橋や箱根用水など各地にある。これらの歴史を、例えば中学生の副読本程度にまとめ、各地の図書館や学校図書館に置きたいものである。各地域の先人の努力を子供たちに身近に伝えたいものである。
(氏名:斉藤恒孝)

■ モリナガ・ヨウのぶらっとぉ土木現場 最終回 虎杖浜トンネル付近の改良工事(北海道白老町─ 登別市)

毎号楽しみにしていたコーナーが今回で最終回となってしまいました。初めて読んだとき、絵で土木現場を表現するという斬新さに心奪われました。土木の専門でないモリナガさんの着眼力や疑問点などが面白さを引き立てていました。また、身近な現場を取り上げていただき、紙面の出来ばえに現場職員ともに感心させられました。漫画を担当されたモリナガさん、編集委員の溝渕先生どうもおつかれさまでした。
(所属:西武建設(株) 氏名:三村 卓)

今回でこの連載が終わってしまうのは大変残念です。硬いイメージのある学会誌の紙面の中にあって、これほど親しみやすく、しかも専門家でなくともわかりやすい漫画と解説や感想。今回の連載が広く一般の書物になるとのことですが、楽しみにしたいと思います。また学会誌において、今後とも趣向を変えた親しみの持てる連載を期待します。
(所属:(株)キャプティ 氏名:斉藤 実)

連載が終わるとは残念ですが、一冊の本になる日を愉しみにしています。
(氏名:秀島 雄二朗)

■ 土木に見る数字 第8回 15 山中 稔

日本における「ダム」と「堰」・「ため池」との違いをこの「土木に見る数字」で取り上げ、解りやすく解釈していただいた山中 稔さんにダム業務に携わっている者の一人として感謝の意を表します。ダム事業のほか、河川・農林・水資源分野等の関係者には常識的なこの定義が一般社会に殆ど知られていないことに業務上不便を感じていました。水資源の利用や開発、ダムの目的(必要性)・計画・設計・施工・維持管理・経済効果等を検討したり、環境や防災上の課題を論ずる際などにおいてはこのダムの定義(高さ15m以上)が知られていないことによる認識のずれが支障となっていると感ずることが屡々でした。特に海外のダムが引用される場合は日本における堰やため池に相当していることが少なくありませんでした。
(氏名:福冨幹男)

■ 論説委員会の頁 第20回論説(2009年1月版)基礎力を備えた研究者の育成と確保 楠田 哲也

物事の事象だけを考えるのではなく、その成り立ち、根拠となるものを追求していくためには、基礎力が重要であり、また事象にフィードバックするバランス感覚も必要だと思います。土木は、構造や機能、目的など多種多様な分野であるにもかかわらず、近年においては人材不足などの理由で、技術を身につけていく過程において、基礎力よりも、即戦力としての広く浅くの応用力が優先されがちだと思います。不況産業である今の建設業界が求める研究者も利益を生む成果を重視せざるを得ない状況だと思いますが、基礎力を身につける人材育成をすることが、建設業界の将来にとって重要だと思いました。
(所属:中電技術コンサルタント(株) 氏名:北出圭介)

■ CE リポート ステンレス鉄筋を用いてコンクリート構造物を長寿命化する 丸屋 剛、二羽 淳一郎

最近の動向を知ることができ、大変興味深い記事である。今後注目されるべき材料であると思う。
(所属:岡山県 氏名:難波明代)

塩害により鉄筋が腐食し、さらにRC構造物の耐荷性能が落ちることがよく知られています。この問題について、後で維持管理対策を考えるのはもちろんですが、設計段階でも鉄筋の防食を考慮することを望みます。私は一度竹筋コンクリートで造られた現役の構造物を見学したことがあり、そのとき、鉄筋の腐食にはあまり心配しなくてもよい材料があれば、少なくとも構造物の劣化が低減できるのではないかなと思っていました。この記事を読んで、「ステンレス鉄筋を用いるコンクリート構造物の設計施工指針(案)」により、これからSUS316のようなステンレス鉄筋をますます港湾コンクリート構造物に使用することを期待するとともに、塩害問題の解決に向かって一歩を踏み出したと感じます。また、興味を持って、鋼種のSUS316およびモリブデンをいろいろ調べてきて、勉強になりました。記事全体は鉄筋腐食の視点の話ですが、もう少しステンレス鉄筋を含むRC構造の力学性能などの内容を書いていただければいいかもしれないと思います。
(所属:神戸大学大学院 氏名:彭 豊)

■ どぼく自由自題 第10回 土木の「原罪」を考える 藤井 聡

土木の「原罪」とういうタイトルを見て、はじめは何のことかとビックリしましたが、しかしよく読んでみると、なるほどと考えさせられました。昔から人は、生きていくために、安心して暮らせるように、さらに暮らし向きをより良くするために、築土構木なる行為を「善」として受容してきたのではないでしょうか?おそらく、現在の土木技術者の中に土木事業に「悪」が潜んでいると思って仕事をしている者はまずいないと思います。しかし、地球環境問題、地方都市の空洞化、コンプライアンスの問題等々が現代社会に顕在化しつつある「悪」と捉えて、それらを少しでも解決していくための努力が私たちに与えられた使命であると思いました。
(所属:(株)キャプティ 氏名:斉藤 実)

大きなテーマのタイトルに魅せられて前回、前々回、「淮南子」と読み進めました。古代と現代で変わらないことは人間も自然の一部でありながら、自然と対峙する存在でもあったこと。おそらく古代では人間の行為(築土構木)の正当性を人間に内在する自然に求めたのではないかと思いましたが、まったくの無為自然を捨てたのが人間の文明の始まりとするなら、これはたしかに原罪ですね。原罪を意識するとは「悪」、自然を傷つけることを自覚することであるならば、現代は古代よりも遥かに傷つけている。土木に限らず人間の営為の殆どから生ずる環境問題等でその意識は高まりを見せてはいるが、原罪を感じている人がどれぐらいの割合でいるでしょうか?古代と異なるのは為政者や聖人、官のみならず民も有為の実現すなわち「善」「悪」ともどもの行為能力を飛躍的に増大しているから、民にも古代の為政者や聖人と同じ志の高さが求められると思います。
(氏名:秀島 雄二朗)

人間の生きるための営為が、自然の改変を伴うことへのきわめて謙虚な反省について、東京工業大学の藤井聡先生が書いておられる。三月号は、二〇〇八年を振り返り、「変」の年を大まかに取りまとめた。地方財政の立場から、資源の最適配分をライフワークにしてきた者としては、見過ごせない重要な論点がいくつか含まれている。戦後六十年を経て、土木工事の分野にも、大きな変化の時期を迎えている。川辺川ダム、大戸川ダムなど解決までにさらに知恵を寄せていく必要のあるものもある。驚いたのは、「ぶらっと土木現場」最終回で取り上げている道央自動車道と登別の近くを併走する国道36号線の片道2車線の道路整備である。四車線の交通容量は両方向で4万8千台と若いころ技術補佐に教えられたが、ここではどのくらいの需要を想定しているのだろうか。はるかに路側が狭く、カーブが多い首都高速では、上下で十万台を越える車をさばいている。高速道におおむね一時間程度で到達するという構想に一番遠いのは、実は三多摩の住民と埼玉県民ではないだろうか。首都圏の道路整備の課題に比べて、格差が大きすぎるのではないだろうか。さらには、甲子道路の開通とトンネルや橋梁が直轄権限代行事業として完成したとの記事もある。これについても、もう十年以上前の出来事を思い出す。国道三七一号線の山の峠まで登るルーティングの問題と「ふるさとづく特別対策事業」の林道「水上栃谷線」として百億余で二千メートルのトンネルを掘り、和歌山と新宮間の所要時間を五時間から半減させたときの厳しい議論である。地方が単独でトンネルを掘るのは生意気だとか、党の部会では、資源配分の二元化は許せないとかの議論で、当時の仮谷知事を押し立ててがんばった和歌山以外の地方単独事業は押しつぶされてしまったのである。ときあたかも、建設業で大手五社につぐ準大手三社の中で、ダム、トンネルが得意とされる西松建設が起こした政治献金問題は、どのような帰結になるのか現段階では、予断は許されない。やっと政治への希望が垣間見えてきた今頃になっても依然として残っている社会的、政治的な意味において土木の「原罪」といわれかねない問題である。個々人は清廉潔白でも組織としては問題であり、いずれにしても官に対する信頼を損ねかねない。私見では、今後十年ぐらいをかけて、住生活を中心として内需の拡大を図り、財政の再建につなげるというのがわが国の生きる道であると思うが、誰が担当できるのだろうか。
(氏名:斉藤恒孝)

■ お知らせ土木学会の公益法人改革への対応 稲垣 一

公益法人改革について,これまではあまり真剣に考えてことは無かった.むしろ,他人事のように感じていたと言うほうが正確かもしれない.今回このお知らせを読んで,実は身近に起きていることであると認識させられた. 土木学会の一員として,是非とも円滑な公益社団法人への移行を願って止まないとともに,そういった法人に所属する会員として恥じることのない活動を心がけたい.ただし,私と同じように対岸の火事と見ている人も少なからずいると思う.そういう人たちにも,この土木学会の取り組みを広く伝える方法は無いものだろうか?
(所属:東洋建設株式会社 氏名:小竹康夫)

■ その他 ・意見等

学会誌は非常に見易く,面白い構成になっていると,学生会員の声を耳にした。年輩会員の引き留め策も手詰まり感があるので,NPO会員や一般市民会員,小中学生会員といった新規開拓枠もどうだろうか。あるいは,異分野で活躍されリタイヤされた方を対象としたシニアアドバイザー枠も面白そうだ。
(所属:高松工業高等専門学校 氏名:向谷光彦)

誌全体的に文字ポイントが小さいと思う。特にANNUAL008の土木学会誌の記事で、各月の出来事を記した文字ポイントが特に小さく書かれているのは、何か理由があるのだろうか。個人的な事で申し訳ないが、年齢から来る視力の衰えは避けて通れず、その辺りの事情も配慮いただければ幸いである。
(所属:(株)明和プラテック 氏名:鉤 真幸)

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