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技術賞

Outstanding Civil Engineering Achievement Award

2006年(平成17年度) IIグループ

苫田ダムの建設 −新たな試みによるコスト縮減と自然環境にやさしいダムづくり−

Construction of Tomata Dam - A Dam Construction with Advanced Technologies enabling Reductions in Costs and Environmental Impacts

苫田ダムの建設 −新たな試みによるコスト縮減と自然環境にやさしいダムづくり−

  • 国土交通省 中国地方整備局
  • Chugoku Regional Development Bureau, Ministry of Land, Infrastructure and Transport
概要
苫田ダムは、一級河川吉井川水系吉井川に建設した多目的ダムであり、洪水調節、流水の正常な機能の維持、灌漑用水、上水道用水、工業用水の新たな確保及び発電をその目的としている。本事業では、高さ74m の重力式コンクリートダムの本ダムと、本ダム左岸上流300m に鞍部処理として、高さ25m の表面遮水型ロックフィルダムを建設している。事業実施にあたっては、国内で初めて、ジグザグ型の越流頂によりダム高を変えずにゲートレス化を実現(ラビリンス型自由越流頂)するとともに、ひび割れのない信頼性の高いコンクリート表面遮水によるロックフィルダムを施工(CFRD 工法)している。また、鋼材の特徴を活かした引張型ラジアルゲートを世界で初めて堤内に設置している。これらの新技術を開発、導入することにより、施工性の向上、品質確保、コスト縮減を図っている。そのほか、自然環境にやさしいダムづくりとして、河床砂礫を活用して原石山なしで2 つのダムを建設、直轄ダム初の廃棄物ゼロの達成(ゼロ・エミッションの導入)、組立自立式パネル気泡混合軽量モルタル盛土工法を採用した緑豊かな岸辺の保全、地域の新たな魅力ある風景を創出(グランドデザインの導入)など、さまざまな新たな取り組みを行っている。以上のように苫田ダム建設事業は、新技術の導入に積極的に取り組み、地域の安全や河川環境の保全、さらには、多機能施設として水源地域の健全な発展を担うプロジェクトである。これらは、今後のダム建設技術の発展に顕著な貢献をするとともに社会の発展に寄与すると高く評価され、技術賞に値するものとして認められた。
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