大自然の恵み“支笏湖”はカルデラ湖のため標高が高く、その高さを活かし湖からこぼれ落ちてくる天然水を発電に利用しているのが、王子製紙の千歳川発電所です。全部で5つある発電施設は、1910(明治43)年から1941(昭和16)年にかけ建設され、水のエネルギーを余すところ無く電気に変えています。その一連の施設は堰堤や建屋、はたまた内部の水車や発電機までもが創業当時のまま現役であり、北海道を代表する貴重な近代化遺産として評価されています。
最も古い第1発電所取水ダム(堰堤)はコンクリート製重力式ダムですが、補強するためにバットレスと呼ばれる張り出しの翼が並んでいる珍しいタイプです。さらに堤の表面には、凍害防止のため張り石が施され、重厚で遺跡を感じさせる肌合いを出しています。発電施設を包み込む四季の絶景は息をのむ素晴らしさです。