公益社団法人土木学会


平成27年度認定
茨戸川の岡ア式単床ブロック護岸
石狩市 竣工年:1917(大正6)年
茨戸川の岡ア式単床ブロック護岸は「岡ア文吉が考案・敷設し、その技術は北海道開発に貢献し、さらには海外にも継承され、国内に普及している連節護岸の礎となる施設」であります。

 石狩川の最初の治水計画となる「石狩川治水計画調査報文」を取りまとめた岡ア文吉は、1910(明治43)年に石狩川治水事務所の初代の所長となり、石狩川の本格的な治水対策に着手しました。
 1910(明治43)年から大正6年にかけて、石狩川の湾曲が著しく河岸決壊が進行していた花畔、ビトイ、伏古別地先において、河岸、河床の保護を目的として、自らが開発した岡ア式単床ブロックを用い護岸を設置しました。このうち、1916(大正5)年から1917(大正6)年にかけて設置された伏古別地先(現在の茨戸川生振)の護岸は、1世紀を経ても現存し、工事の起点・終点の碑が建立されています。
 岡ア式単床ブロックは、鉄筋コンクリートを初めて用い、その特徴は、経済性、強度と耐久性、可撓性による河床の変形に対する適応性、施工性等であり、その後も、石狩川の他、十勝川、天塩川などの低水護岸として用いられ、その設計思想は現在の連節ブロックに引き継がれています。また、岡ア文吉は、ブロックの研究成果を海外にも紹介しており、1915(大正4)年以降ミシシッピー川においても単床ブロックが導入されています。


茨戸川に現存する岡ア式単床ブロック護岸(大正6年度完成 石狩市生振)

当時の施工状況:船吊足場法
(1910(明治43)〜大正元年度 石狩川治水事業施工報文より)

現在の茨戸川(石狩川の旧川)

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北海道選奨土木遺産カード : No.35 茨戸川の岡ア式単床ブロック護岸

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